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2月 08 2013

成功事例が聞きたいですか?

セミナー、ワークショップ、シンポジウムの参加者に何か質問はありませんかというと、一番多いのが「I-TRIZを実施した成功事例を教えてほしい」というものです。 野球や料理の場合なら、特定のグラブ、バットや料理器具のような道具によって成果が変動することがあるだろう。
しかし、I-TRIZの実施に関しては、「どのようなときにどのように考えたらいいですか?」という質問をされても、Aさんにとって効果的な考え方はBさんにとっても効果的である保証はないので、BさんがI-TRIZを習得したいときにAさんの頭の使い方を詳細に検討することは意味がありません。
ましてや、Aさんが上級者でBさんがまったくの初心者である場合には、Aさんの頭の使い方の自己分析をBさんが聞いて、Aさんが何を問題にしているのかBさんにとって理解できるかどうかさえ疑問であろう。
「I-TRIZの成功例」というのは、このたとえで見ると、「Aさんはこのような頭の使い方で新商品開発に成功した」という情報と同じであるとみなせます。Aさんの頭の使い方をBさんが真似したとしても、環境や条件の異なる自社の技術分野で成功できる保証はありません。
ましてや、これからI-TRIZを学ぼうかというBさんにとって、「Aさんはこのように頭を使って新商品開発に成功した」という情報は残念ながらあまり価値はありそうにも思えません。 「I-TRIZはプロセスが重要である」ということです。
プロセスの豊かさは、そのプロセスを経験した者のみが理解することができることであって、それを文章や口頭で表現して、その場にいなかった人にその豊かさを伝えることは非常に難しいといえる。
I-TRIZについては、事例はせいぜい出し汁を取った後の出し汁殻でしかなく、その料理の中身を的確に伝えられる可能性はほとんどありません。
I-TRIZのポイントはプロセスにあることから記録に残すことが困難である他に、成功事例を記録として残すのが難しいもう一つの理由は、I-TRIZが最も成功したときは人々は「ごく当たり前の結論に達した」と感じる傾向があるということです。
I-TRIZの本質的な目的は、問題の状況について学習を通じてその状況を改善することであり、当然ながら「I-TRIZのプロセスを一巡する」ことではありません。しばしば成功したケースでは、I-TRIZのプロセスは行ったり来たりして混乱錯綜していて、必ずしも「きれいに」プロセスを完結しているとは限りません。
すなわち、関係者にとっては、発見があり、問題解決の方向性が見つかれば、それでI-TRIZによる活動は成功したのであり、成功事例が部外者にとって理解可能な形で記録に残せるとは限りません。
シンポジウム等で発表されるいわゆる成功事例の多くは、発表者には申し訳ないが、そのほとんどが後付けの説明であるといえます。 それでは、I-TRIZの理想的な学習法はどんなものかといえば、私の経験では以下のとおりです。
I-TRIZを適用しているプロジェクトに参加して、プロジェクトの中でI-TRIZを実践で学ぶ。続いて、本やセミナーでわからない点や理論的背景を学ぶ。プロジェクトと自習を繰り返す間に、研究会や勉強会等にも参加して、他の人と経験やノウハウを交換する。
プロジェクトを数回経験したら、自らがリーダーとなってI-TRIZでプロジェクトを運営しながらI-TRIZの初心者であるメンバーに実践でI-TRIZを教える。 まさに、野球や料理のスキル習得と同じである。
試に、私が理事を務めているNPO法人日本TRIZ協会が毎年開催している「TRIZシンポジウム」や研究会に参加し、弊社が開催している各種「実践セミナー」や勉強会に参加して、あなたのスキルアップを図ることをお勧めします。
具体的な行動を起こさなければ何も変わりません。 今年の「TRIZシンポジウム」は、9月5、6日に東京都立川市の統計数理研究所で開催されることが決定しています。4月からは、弊社の体験セミナーや実践セミナーも多数開催を予定しています。
是非、どこかのTRIZコミュニティーであなたとお会いできることを楽しみにしています。