弊社ではファシリテーション型のコンサル(プロセスコンサルティング)のサービスを実施していますが、通常は本格プロジェクトの前にパイロット・プロジェクトを行うケースが多いといえます。
パイロット・プロジェクトは、顧客がその結果を確かめた上で本格プロジェクトに取り組むか否かを決定するためのお試し版という位置づけになります。
パイロット・プロジェクトと本格プロジェクトとは、プロジェクト全体の工数が違うと考えていただければ結構です。パイロット・プロジェクトでは本格プロジェクトの工程の一部を省略したり、各工程にかける時間を少なくすることで対応しています。パイロット・プロジェクト用のテーマを決めることは稀であり、本格プロジェクトと同じテーマを採用するケースが多いといえます。
パイロット・プロジェクトでは、時間の関係で各工程での取り組みが浅くなるため、プロジェクトの成果が物足りない結果に終わるのは否めませんが、Ideation TRIZの効果を確認するには十分な内容であると考えます。
プロジェクトで目的とする成果を出すためには、(1)確実に機能する思考プロセスに沿って、(2)目的に合った思考スキル(思考ツール)を選択して、(3)成果が出るまで粘り強く考える、ことが必要です。
プロジェクト成果の評価項目とその判定基準が事前にわかっているのであれば、その評価項目ごとに高い評価が得られるように、プロジェクトを進めることが可能です。
Ideation TRIZでは、漸進的イノベーションを起こすための発明的問題解決(IPS:Inventive Problem Solving)のプロジェクトや急進的イノベーションを起こすための戦略的世代進化(DE:Directed Evolution®)のプロジェクトが代表的なものです。
発明的問題解決(IPS)のプロジェクトであれば、(1)Ideationプロセス質問票のチェックリストによりプロジェクトを行う必要性と目的、成果の評価基準を確認する、(2)システムアプローチにより問題状況の多観点分析を行う、(3)プロブレム・フォーミュレーションにより問題状況の因果関係ダイアグラム作成し、課題を抽出する、(4)オペレータ・システムを使用したIdeation ブレーンストーミングを行い、課題を実現するアイデアを創出する、(5)アイデアの組み合わせ、単純化を行い、解決コンセプトをまとめる、(6)不具合予測手法を使用して解決コンセプトの二次的問題と発見し未然防止策を考える、(7)解決コンセプトの結果を評価する、(8)解決コンセプトを実行するための計画を策定する、といったプロセスを実施します。
戦略的世代進化(DE)のプロジェクトであれば、(1)Ideationプロセス質問票のチェックリストによりプロジェクトを行う必要性と目的、成果の評価基準を確認する、(2)システムに関する過去の歴史を調べ、環境、社会、経済、市場などの一般進化トレンドを参考にして、システムアプローチにより関連する進化トレンドを分析する、(2)システムのSカーブ分析を行い、関連する進化パターン、ラインを特定して進化ライン上にシステムをマッピングする、(3)システムの進化ラインからシステムの進化ポテンシャルと進化の限界を確認する、(4)システムの進化の資源と制約を確認し、克服すべき問題についての因果関係ダイヤグラムを作成する、(5)進化を阻害している原因を解明し、理想性のオペレータ、進化ラインのDBを使って企画コンセプトを作成する、(6)不具合予測手法を使って企画コンセプトの二次的問題の発見し、その未然防止策を考えて、プロジェクト成果を評価する、(7)システムの進化シナリオと企画コンセプトを実現するための技術ロードマップを作成する、といったプロセスを実施します。
Ideation TRIZにはプロジェクト成果を評価するために使用する「発明・技術評価」ツールがあります。これは、米国のアイディエーション・インターナショナル社によって300万を超える既存特許の分析により収集された知識に基づいて開発されたものです。
この評価ツールの対象ユーザーは、発明者、技術管理者、IP 担当者、特許ライセンスの販売と購入の責任者などです。この評価ツールを使用すれば、次の重要な側面を含む、評価対象技術の価値を複数基準によって構造的および段階的に分析できます。
Ideation TRIZの手法の1つである「発明・技術評価」ツールでは、
(1)技術に関するファクター
技術創造のために適用された創造的な労力の量、新規性の程度、および技術および/または社会の全体的レベルに及ぼす影響を評価します。
(2)進化に関するファクター
今後さらに開発される技術の進化の可能性を反映します。
(3)市場に関するファクター
技術の可能な用途、可能性のある市場規模、市場成長率などを反映します。
の3項目により、プロジェクトの成果について評価します。
このツールは、次の情報を提供し、技術の可能性の評価と格付けを支援します。
・本技術の可能性の格付けおよび本技術の改良に関するアドバイス
・特許の取得および/または特許の有益な実施を脅かす可能性のある本技術の重要な欠点
この評価ツールを使用すると、評価結果を踏まえた次の行動指針が記載された評価レポートが得られます。評価レポートには、次の活動を支援する情報が含まれます。
・本技術の完全な可能性を開示する(場合によって開示されないこともある側面を含む)
・技術の価値を高め、新しい可能な用途を見つけることを目的とする技術の強化についての方針を特定する
・将来の商業化の機会を高める
・特許ポートフォリオに関する意思決定を向上し、特許リソースを適切に管理する
また、このレポートによって、暫定換算、全国規模の出願、特許維持量の継続に関する意思決定を適切に行うことでコストを削減したり、技術者の商業化の「ヒット率」および投資収益率(ROI)を向上したりできます。