今回は構造で分離するオペレータについて説明します。 構造で分離するオペレータのグループは、システムの構造を変更することを含んでいます。 構造で分離するオペレータには次の23の種類があり、問題の性質によって適当なものを使い分けます。
(1)全体と部分の間で分離する
(2)複合・多重システムを構築する
(3)同種のシステムを複合する
(4)同種システムの複合による補正
(5)特性の転換による複合システム
(6)競合するシステムで構成された複合システム
(7)新旧システムによる相互補完を行う
(8)システムを複合して欠点を補正する
(9)複合による欠点を克服する
(10)システム複合による資源導入
(11)逆機能のシステムを複合する
(12)二元化の原理を適用する
(13)同種のシステムの多重化
(14)特性の転換による多重システム
(15)複合システムの多重化
(16)ダイナミックな多重システム
(17)結合の強化する
(18)要素間の差を拡大する
(19)模型(コピー)を適用する
(20)対称性を放棄する
(21)媒体を利用する
(22)マーカーを付加する
(23)仲介者を利用する
以下に、それぞれのオペレータの内容を説明します。
(1)全体と部分の間で分離する システムが矛盾する機能を実行すること、または矛盾する条件下で動作することを要請される場合は、システムを分割し、矛盾する機能、または条件の一方を下位システム(または、複数の下位システム)に割当ててみてください。残りの機能や条件は、システム全体が保持します。
(2)複合・多重システムを構築する 技術システムは、進化の過程において、上位レベルのスーパシステムに統合されることで改良されていく傾向があります。統合には、複合システム(二つの同じシステム、または異なるシステムが結合したもの)への統合と、多重システム(三つ以上のシステムが結合したもの)があります。
(3)同種のシステムを複合する 2つの同種のシステム(対象物、またはプロス)を統合して、1つの新しいシステムを構築することを検討してください。そのような統合から、新しい特性が得られる場合もあります。
(4)同種システムの複合による補正 同種の2つのシステム、対象物、またはプロセスを統合し、新しいシステムを構築することを検討してください。その結果、元のシステムに固有の欠点を排除できる場合があります。
(5)特性の転換による複合システム 望まれる特性が異なる(逆の場合もある)2つのシステムを複合して1つのシステムにした方がよい場合もあります。このような方法で望まれる特性を組み合わせると、新しい特性をもつシステム構築できる場合もあります。
(6)競合するシステムで構成された複合システム 同じ目的で設計されていながら、作用原理が異なるような2つシステムを統合することを考えてください。その統合により2つのシステムの望ましい特性が組み合わされたり、両者の欠点が補われたりする場合があります。
(7)新旧システムによる相互補完を行う 有効性の薄れた旧システムと、有効性が期待される新システムがあり、新システムの性能が旧システムに及ばない場合は、それらを統合し、1つのシステムに統合することを検討してください。新システムによって旧システムの寿命が延びる場合もあります。また、初めは、新システムを旧システムの補助システムとして使用し、評価、変更、調整などで試験することもできます。そうすれば、時間や資源の節約になり、支持も得られます。
(8)システムを複合して欠点を補正する システムに深刻な欠点と望ましい特性が共存する場合は、反対の欠点を持つ競合システムを探し、2つのシステムを統合してください。その統合により、両システムの元の欠点が補正される場合もあります。また、望ましい特性が組み合わされる場合もよくあります。
(9)複合による欠点を克服する 同じ目的で設計された2つのシステムの内、一方のシステムは高価(複雑)だが性能が高く、他方のシステムは安価(製造および操作が簡単)だが性能が低い場合は、それらの統合を検討してください。元のシステムの望ましい特性が組み合わされる場合もあります。つまり、単純で高性能なシステムが構築できる場合もあります。
(10)システム複合による資源導入 システムに必要な資源(情報、エネルギ、物質、空間など)を備えた第二のシステムを探し、2つのシステムを統合してください。その結果、自分のシステムの主要機能と補助機能の全体が向上する場合もあります。
(11)逆機能のシステムを複合する 逆の機能をもつ2つのシステム(すなわち、目的が反対)を複合することを検討してください。複合された新しいシステムの方が、機能を正確に制御できる場合もあります。
(12)二元化の原理を適用する 材料が有益な特性を損失する傾向にあったり、障害を引き起こす可能性がある場合は、保管や輸送が別に行えるようにより耐久性がある、または有害性の低い要素に材料を分割し、必要に応じて結合することを検討してください。
(13)同種のシステムの多重化 複数の同種の対象物やプロセスを新システムに統合することを検討してください。その結果得られた多重システムでは、元の対象物やプロセスの特性が拡張、または強化される場合もあります。また、新たな特性(おそらく、元の特性と反対のもの)が生まれる場合もあります。
(14)特性の転換による多重システム 特性が類似している複数のシステムを統合することを検討してください。構築された多重システムでは、その下位システムが他の機能を補足または拡張する場合もあります。
(15)複合システムの多重化 各複合システムが同種のシステム、特性の類似したシステム、競合システム、代替システムなどから構成されている場合は、それらの複合システムを2つ以上組合せて、多重システムを構築することを検討してください。
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