矛盾を解決するオペレータ(指針)

TRIZでは問題を矛盾として捉えます。そして、この矛盾を解決するために、有益機能を2つの状態に分離することにより、一方では有益機能を提供し、他方では有害機能を打ち消すことを考えます。
矛盾を解決するオペレータ(指針)として、I-TRIZでは
(1)空間で分離するオペレータ
(2)時間で分離するオペレータ
(3)構造の観点から分離するオペレータ
(4)条件・特性で分離するオペレータ
の4種類があります。
空間で分離するオペレータでは、システムが互いに矛盾する機能を実行する、または相反する条件下で動作することが求められている場合は、システムを部分に分離することを考えます。そして、互いに矛盾する機能または条件を各々異なる部分に割り当てることを考えます。
空間で分離するオペレータには、
(1)相反する要請を空間で分離する
(2)問題のある部分を対象物から引き離す
(3)必要な部分を対象物から引き離す
(4)別の次元を考える
(5)反対側を考える
(6)入れ子にする
(7)通り抜けを考える
などがあります。
時間で分離するオペレータでは、システムまたはプロセスが互いに矛盾する要請を満足させる、または相反する条件下で動作することが求められている場合は、システムが機能を発揮するプロセスのスケジュールを調整して、矛盾する要請、機能、または作業が異なる時間に行われるようにします。
時間で分離するオペレータには、
(1)相反する要請を時間で分離する
(2)事前の処理(作用)
(3)事前の部分的処理(作用)
(4)事前の配置
(5)処理の中断
(6)時間をずらす
(7)柔軟化
(8)プロセスの後の時間を使う
などがあります。
構造の観点から分離するオペレータでは、システムが互いに矛盾する機能を実行する、または相反する条件下で動作することが求められている場合は、システムを部分(下位システム)に分け、矛盾する機能または条件の一方を特定の下位システム(または、複数の下位システム)に割り当てるようにします。それ以外の機能と条件への対応はシステムが全体として担当することにします。
構造の観点から分離するオペレータには、
(1)相反する要請を対象全体とその部分とで分離する
(2)複合・多重システムを構築する
(3)模型・コピーを利用する
(4)対称性を放棄する
(5)媒体を利用する
(6)仲介者を利用する
などがあります。
条件・特性で分離するオペレータでは、システムまたはプロセスが互いに矛盾する要請を満足させる、または相反する条件で動作することが求められている場合は、変化させることのできる何らかの属性あるいは条件を探し、その属性の値あるいは条件がある状態の時には一つの要請を満足し、別の状態の時に反対の要請を満足するようにします。
条件・特性で分離するオペレータには、
(1)互いに矛盾する要請を条件・特性で分離する
(2)区別効果を利用する
(3)部分的に軽減する
(4)光学的特性の差を利用する
(5)第2の場を導入する
などがあります。
以上の(1)空間で分離するオペレータ、(2)時間で分離するオペレータ、(3)構造の観点から分離するオペレータ、(4)条件・特性で分離するオペレータについて、より詳しい内容については、次回以降で説明します。