パソコンを購入しようとする人は、ウィンドウズパソコンとマッキントッシュのパソコンの性能や値段を比較対照してどちらかを選択するようなことはしません。 マッキントッシュのパソコンを欲しいと考える人は、最初からマッキントッシュが作ったパソコンが欲しいのであって、他のメーカーのパソコンには興味がありません。
マッキントッシュと他のメーカーでは製品の設計思想がまったく異なるため、他のメーカーのパソコンは比較の対象にはなりません。マッキントッシュが製造しているパソコンの中で、どれを選ぶかという選択肢があるだけです。 TRIZのソフトウェアについても同じことがいえます。
TRIZのソフトウェアとして知られているGoldfire、IWB(Innovation WorkBench)、CREAXのうちからどれを選択したらよいか、という質問を受けることがありますが、アイディエーション社の答えは簡単です。
あまり知られていないことですが、実はIWBは他のソフトウェアや他のTRIZ手法(ASIT、USIT、HTA(Hierarchical TRIZ Algorithms)、OTSM等)とは、その基本的な考え方が異なっています。
IWB以外のソフトウェアや他のTRIZ手法は、古典的TRIZの一部分を使用するもの、古典的TRIZの一部分を改良したもの、古典的TRIZを発展させたものであって、基本は古典的TRIZのままです。
古典的TRIZの代表格であるARIZを習得するには、100~240時間を要するといわれていました。IWBはそれを25~80時間にまで短縮しています。 その違いは、単にコンピュータを使っているから短時間で済むということではありません。それは、基本的な設計思想の違いにあります。
IWBは、使い勝手がよくて、しかも革新的な問題にも対処できるようにするにはどうしたらよいかを考えました。結果として、古典的TRIZのすべての要素を見直して、その体系を再構築する方法を選びました(これをIdeationTRIZ(I-TRIZ)といいます)。
これにより、同じ問題にも関わらず人によってその内容が異なるといわれる技術的矛盾の定義文をどうするかで悩む必要がなくなりました。技術的矛盾の背景にあるといわれる物理的矛盾を見つけ出す必要もありません。物質-場分析といった難解なモデルを作成する必要もありません。
あちらこちらと食い散らかすような非効率的なやり方はなくなりました。必要に応じて、フィードバックすることはありますが、その思考プロセスは一直線に進みます。 TRIZの難しい理論を何一つ覚えることなく、IWBの思考プロセスに身を委ねるだけで、TRIZの強力な問題解決力を使うことができるように考えられています。 ただし、IWBにも難点が1つあります。
もともと、コンサルタントが自分たちの仕事の品質を保証し、かつ効率的に行うことを目的として作成したため、他のソフトウェアに比べて見栄えがよくありません。 しかし、付き合ってみると、すごく頼りになります。嘘ではありません。あなたの目と頭で確かめてみてください。
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