I-TRIZの導入を検討している方へ

TRIZから進化し続けている「I-TRIZ(Ideation-TRIZ)」を導入してみようかと考えている人に、お知らせがあります。

最初に手頃な値段のIBS(Ideation Brainstorming)を買って「I-TRIZ」を体験して、使えそうだったら本格版のIWB(Innovation Work Bench)を買おう、と思うかもしれませんが、それはやめた方がいいでしょう。

「I-TRIZ」について何も知らない人がいきなりIBSに取り組んだとしたら、間違いなく、IBSは使えないという結論を出すことになるでしょう。その結果、「I-TRIZ」も使えないという判断をされることと思います。

それは、あなたにとっても、私たちにとっても残念なことです。 IBSは、「I-TRIZ」を修得するためのソフトではありません。 新しい本の要約を読んでその概要がわかるのは、その分野の基礎的な知識を持っているからです。

IBSは、「I-TRIZ」を修得している人が、日常業務の中で気楽にブレーンストーミングを行い、その結果生まれたアイデアをその場で記録しておく(アイデア1件毎に、日付と時間が記録されます)ためのソフトです。 IBSを使って出したアイデアは、その後IWBで見直しを行って、より強力で実現可能性の高い解決策に仕上げる必要があります。

是非、最初から本格版であるIWBに触れてください(たとえば、当社の新体験セミナーでIWBソフトを無料で体験できます。

IWBは、「I-TRIZ」は勿論、TRIZを知らない人でも、ソフトに触れることで「I-TRIZ」を修得することができるようにプログラムされています。また、具体的な問題を前にしたときには、「I-TRIZ」の強力な問題解決力が自然に使用できるように作られています。

「I-TRIZ」の導入を検討中の方は、IWBを使って「I-TRIZ」の思考プロセスを理解した上でIBSを日常業務に活用するようにしてください。 なお、本格的に「I-TRIZ」を勉強してみたいという人は、弊社主催の3日間のトレーニングを受講されることをおすすめします。

戦略と予測

2年前にあるコンサルタント会社から中小企業を対象とした知財戦略のコンサルの依頼を受けて、実際にある会社の知財コンサルを実施したことがあります。その経験を活かし、先週末、知財戦略についての公開セミナーで講演を行いました。

知財コンサルについては、公開セミナー以外でもいろいろな会社でお話しをさせていただいていますが、「どこへ行っても一緒」ということがあります。 それは、「知財戦略が知的財産管理をうまくやるための計画である」と勘違いしている点です。

知財戦略の領域をあまりにも狭く見ていることに驚かされます。 なぜ、そのようなことがわかるかというと、「御社の企業理念を教えください。」との私の質問に対して、「弊社の企業理念は『○○○○○』です。」という答えが帰って来ることがないからです。

実は、知財戦略は、「企業理念(ミッション)」→「経営ビジョン」→「経営戦略」→「中・長期経営計画」→「研究開発戦略」→「知財戦略」→「知財戦術(計画)」というように、企業経営の流れの中に位置づけられるものです。 物事には流れがあって、上流が下流よりも優先されるため、上流を下流の前提と考えることが必要になります。 企業理念といえば、たとえば「快適な車社会を実現します」というようなもので、その会社は「車に関する仕事をする」ことを社会に約束したことになります。

経営ビジョンとは、企業理念を前提として、それを具体化するために経営者が将来企業がどのような姿になるかを示した「見通し(予測)」のことです。 経営戦略は、経営ビジョンを実現するための基本的な方向を定めたものです。

したがって、知財戦略を立案するのであれば、当然に、上流の企業理念、経営ビジョン、経営戦略や研究開発戦略のすべてを前提として、これらに反することなく、その流れに沿った形で作らなければなりません。 しかしながら、実際には、すぐ上流の研究開発戦略どころか、経営戦略、経営ビジョン、企業理念には無関心といった状況です。

これでは、知財戦略を立案する際の予測の確度など信頼できるものではありません。したがって、できあがった知財戦略がうまく行くはずがありません。知財戦略は企業にとっては経営の手段の一つでしかありません。

その目的は経営ビジョン、企業理念を実現する点にあります。 知財戦略を例にしましたが、TRIZの技術予測やDE(方向づけられた進化の法則)を使用した予測を行うに当たっては、そもそも何のために将来予測をしようとしているのかをよく考えた上で実行しなければならないことを覚えておいてください。

進化のパターンとラインとDE

DE(Directed Evolution:方向づけられた進化)の理論的な基礎は、1970年代中頃に開発された、人工的システムや自然のシステムが発展する過程で、強い、歴史的に何度も繰り返えされている傾向をまとめた「進化のパターン」に基づいた「TRIZの技術予測」です。

アルトシュラーによって最初に発見された進化のパターンは、
(1)工学システムの完全性
(2)工学システムにおけるエネルギーの流れ
(3)工学システムにおける同期化されたリズムまたは部分の調和
(4)工学システムの理想性の増加
(5)工学システムを構成するサブシステムの非均等な進化
(6)全体的なシステムへの移行
(7)工学システムにおけるマイクロレベルからミクロレベルへの移行
(8)物質・場関与の増加
の8つといわれています。

その後、アイディエーション・インターナショナル社によって改訂、再構築、拡張がなされた「技術進化のパターン」は、
(1)進化の段階
(2)理想性が高まる方向への進化
(3)システム要素の非均等な発展
(4)ダイナミック性および制御性が高まる方向への進化
(5)複雑性が高まり、その後単純化する方向への進化
(6)対応・非対応要素を伴う進化
(7)ミクロレベルおよび場の使用が増加する方向への進化
(8)人間の関与が減る方向への進化
(9)資源の関与が高まる方向への進化
のとおりです。

なお、アイディエーション・インターナショナル社の最新のIWBソフトウェア(Ver.3.2.9)に記載されている「技術進化のパターン」は、
(1)理想性の向上
(2)複合システム・多重システムの構築
(3)分割
(4)物質構造の開発
(5)ダイナミック化
(6)制御性の向上
(7)要素の汎用化
(8)要素間の対応・非対応
のとおりです。

TRIZの技術予測は、従来の技術予測と異なり、「進化のパターン」に従って導かれるもので、未来を評価しつつ次世代の製品やプロセスの開発するのに役立つアイデアを生み出し、未来の発展を実際に強制するものです。

TRIZの技術予測で、多数の「進化のパターン」と、より詳しい「進化のライン」が次世代の予測ツールとなることが明らかになり、その後(1990年代中頃)「TRIZの技術予測」は「方向づけられた進化の法則(DE)」へと変容し始めました。 つまり、「TRIZの技術予測」は、製品、プロセス、サービス、技術だけでなく、組織、企業、産業、市場、社会、文明といった人間活動やその他の領域の広範な進化に関する潜在的なシナリオの包括的なセットを提供する「方向づけられた進化の法則(DE)」に成長しました。

従来の技術予測では、「この製品、プロセスのパラメータで何が起こるか?」を問題にし、機械、手順またはテクニックの将来のパラメータを予測します。 TRIZの技術予測では、「この製品、プロセスの特定の予め決められた『進化のライン』に基づいて次世代へと発展させるためにはどんな変更を行うべきか?」を問題にし、予め決められた進化のパターン/ラインに基づく次世代の技術システムのコンセプトを開発します。

DEでは、「勝者になるために、明確にされたシナリオの包括的なセットからどの進化のシナリオを選ぶべきか?」を問題にし、製品、プロセス、サービス、技術、組織、市場等の進化の潜在的なシナリオの包括的なセットを入手します。

DEは、従来の技術予測やTRIZの技術予測とは異なり、一度だけの行為で終わりません。対象となるシステムの進化を監視し、必要なタイミングで積極的な影響を与えることのできる新しい技術や材料を組み込んでいくことにより、製品、プロセス、組織等の運命(未来)を制御することを考えます。 アイディエーション・インターナショナル社から2009年に米国で販売されたDEソフトウェア(新世代DE)では、技術進化のほか、社会や市場の進化を含む400以上の進化のラインが発表されています。

未来制御のための進化のパターンとライン

イノベーションを起こすような発明は、10年以上たたないとその価値がわからないといわれるように、10~20年先の未来を制御しようとすれば、10~20年先の未来がどのようになるかを推測しなければなりません。

以前に、技術進化のほか、社会、市場進化を含む400以上の進化のラインを備えた「新世代DE」が、アイディエーション・インターナショナル社から2009年にコンピュータ・ソフトウェアで提供されたことをお話ししました。

しかしながら、具体的なテーマについて新規製品・サービスの企画を考える場合には、DEのソフトウェアに組み込まれている膨大なデーターベースのすべてを使用するということはなく、テーマに関連する箇所を重点的に見ていくことになります。

そこで、まず、I-TRIZの中で現在日本語化されている進化のパターンとラインについて見ていきましょう。 発明的問題解決のためのソフトウェアのIWB(Innovation Work Bench)では、アイディエーション・プロセスの「結果評価」という解決策を評価する段階に、「進化のパターン/ラインの適用」という項目で登場します。

これは、エンジニアリングプロセスの最終段階に進化のパターンとラインを使用すればよいということではありません。

I-TRIZでは、むしろ、問題状況の把握・分析の段階、アイデアの発想・解決策の構築の段階のすべてにおいて、技術システムの進化の法則性を意識しながら思考していくことが特徴となっていますので、「結果の評価」段階では、解決策を一層進化させるために進化のパターンとラインを使用するという意味になります。