知識が豊富な学者タイプの方が中々発明をしないといわれます。 それは、知識をコトバとしてのみ扱っており、それに関連したイメージを積極的に利用することをしていないからです。 イメージ記憶の中にある豊富な真実のデータを直観によって見ることでアイデアが生まれるわけですが、学者タイプの方はそれが嫌いなようです。
直観は科学的でないというのがその根拠のようです。 山勘では困りますが、研究上のデータに基づく直観は科学的でないはずがありません。 研究を進める上で予測が大事といわれますが、この予測は研究者自身が自分で経験した観測事実から得られたもののはずです。 データにはコトバだけでなく、イメージがつきものです。
実体験から得られるイメージには嘘はありません。 実体験から得られたデータに基づく直観こそ、もっとも科学的な予測技術であるといえるはずです。 直観が得られるか否かは、そのテーマに対する問題意識の高さに左右されます。 高い問題意識が持てるかどうかは
(1)そのテーマが「好き」かどうか、
(2)「ピンチ」な状態にあるかどうか、
によって決まります。
「好き」ならば強烈な問題意識を持つことができるので、困難にぶつかっても考えることをやめません。その結果、考えるタネがなくなるまで考えることができます。そのような状態では、ほっといても「いのち」が自動的に(直観の)知恵を出します。
また、お金がない、時間がないといった「ピンチ」の状態ということになれば、何とかしようと考えます。考えるタネがなくなるまで考えざるを得ません。この場合は、「いのち」に働く刺激が生きていく上で好ましくない状態になるため、「いのち」は自動的に(直観の)知恵を出します。
アイデアが出ないときに、先輩や専門家に相談して、彼らの知恵を借りようとする人がいますが、これは上手いかない場合が多いといえます。 それは、相談する人の潜在意識的な「好き嫌い」があるため、たとえ他人が親身になって助言してくれたところで、そのことが相談する人の「好き」に合うかどうかわからないからです。
偶然、その助言が相談する人の「好き」に合致すれば本人が採用することになりますが、「好き」に合致しなければその助言を聞き捨てにするか、場合によっては悪意に解釈することになりかねません。 直観を得たいのであれば、他人に頼ることなく、自分自身が「好き」なテーマを選び、締め切り日を決めて成果を評価する習慣を持つことで「ピンチ」感を持った研究開発を心掛けるべきでしょう。