マーケティングの教科書には、市場調査、市場戦略、コンセプト構築、実行計画の作り方が説明されています。技術開発の教科書には、技術調査、技術戦略、アイデア発想、設計の仕方が説明されています。
マーケティングや技術開発の教科書を学ぶことで、何とか新しいコンセプトやアイデアを考えて第三者に提案できる段階のものを完成することができます。 ドラッカーやコトラーの各種マーケティング手法はもちろんのこと、市場のトレンドを把握するための市場調査、たくさんの顧客の要望や意見から多くの顧客が望んでいる製品やサービスのニーズを把握するためのデータマイニングやテキストマイニング、などを駆使すれば新しいコンセプトが完成するでしょう。
顧客の声から製品やサービスの仕様を決定するためのQFD(品質機能展開)、顧客が望む製品やサービスの機能を再構造化して創造的な構成案を考えるVE(価値工学)、革新的な問題を解決するためのTRIZ(発明的問題解決理論)、出荷後の市場品質の向上を図るために生産技術や製品技術の開発や設計といった技術そのものの品質を管理するためのタグチメソッド(品質工学)、などを駆使すれば製品やサービスの新しいアイデアが完成するでしょう。
しかし、どんなにすばらしいアイデアやコンセプトが生まれても、それらが実現されなければイノベーションは起きません。 アイデアやコンセプトが魅力的であればあるほど、実現するまでの壁が高くて大きいものとなります。この壁を越えなければそれらから生まれる製品やサービスが世の中に出ることもありません。
企画部門で開発したコンセプトであれば、企画責任者が納得し、技術開発部門の協力が得られなければ実現できません。技術開発部門で考えたアイデアであれば、技術開発責任者が納得しなければ実現できません。
企画責任者、技術開発責任者が納得したとしても、経営責任者が納得しなければ実現できません。 これらの社内の壁を通過したとしても、別途市場の壁を通過しなければなりません。顧客はもちろん、流通・販売に関わる人々をも納得させなければなりません。
残念ながら、社内の壁や市場の壁を破るための具体的な手法は、マーケティングや技術開発の教科書はもちろん、MBA(経営学修士)やMOT(技術経営)の教科書にも記載されていません。 そもそも、イノベーションを起こすための手法であるTRIZが普及していない理由も、最後は意思決定者である企画責任者、技術開発責任者、経営責任者を説得することができていない点(社内の壁)にあるのではないかと思います。
企画担当者、技術開発担当者がいくらTRIZが有効だと思っても、彼らが個人的に使うことがあっても、企画責任者、技術開発責任者、経営責任者を説得できなければ、事業部全体または企業全体で採用されることはありません。 TRIZを研究する大学や大学院はあっても、企業で採用されないものを大学生に教える大学はありません。
イノベーションを起こすことはもちろん、イノベーションを起こすための手法であるTRIZを普及させるためには、社内関係者、流通関係者、顧客といったすべての人の心をつかみ、納得させることが必要になるというわけです。
アイディエーション・ジャパン株式会社では、古典的TRIZではなく、米国のアイディエーション・インターナショナル社が古典的TRIZを進化拡張させたI-TRIZを活用することで、イノベーションに関わるすべての人の心をつかみ、納得させることのできるアイデア(コミュニケーションのアイデア)を提供したいと考えています。