QC(Quality Control)活動で使われている特性要因図は、1つの問題の特性について因果関係をたどっていき、最終的には、いわゆる「魚の骨」の大骨、小骨ように多数の原因に枝分かれした図を作成し、不具合を生じているのはどこに原因があるのか、細部に分けて調べ、悪い部分を改善する、といった場合に使用します。
特性要因図に似たものに、原因結果系統図があります。 原因結果系統図では、原因を上に、結果を下に書くというルールで物事の原因と結果との関係を体系化した図です。「なぜ」という質問を繰り返すことで、問題を生じている根本原因を発見することを目的として使用されます。
人間の願いを叶えるといった前向きな思考をするときに、目的手段系統図を使います。 目的手段系統図とは、物事の働きを人間の狙いと達成方法といった観点で眺めた場合の目的と手段との体系図であって、テーマ(目的)に対するアイデア(手段)の関係を示したものです。
「~するために~する」といったように、目的の機能と手段の機能をペアで表現する形で、目的と手段とを繋いでいきます。 目的手段系統図に似たものに、価値工学(VE:Value Engineering)で使用される機能系統図があります。
機能系統図は、目的とする機能とその機能を実現するための手段とする機能との関係を表しているため、目的手段系統図の目的と手段を機能的な表現で記載した場合には、実質的に同じものとなります。
企画構想の段階では目的手段系統図でコンセプトが明確になりますが、そのコンセプトに沿った具体的な製品や方法を考えるには、機能を構成(構造・手順)に変換する必要があります。 器具や装置の場合の構造や、製造方法や測定方法の場合の工程や手順を含む概念を構成といいますが、その構成要素同士の関係を明らかにするために使用するものを構成系統図といいます。
特性要因図、原因結果系統図、目的手段系統図、機能系統図、構成系統図は、原因、結果、目的、手段、機能、構成といった作図の構成要素同士を矢印のない線でつなぎ、それぞれの構成要素同士の上位、下位、同位関係を系統別に整理した図式になっています。
系統図の場合には、特定の構成要素はすぐ上の構成要素またはすぐ下の構成要素と矢印のない線で接続されているだけですので、単に、ある事象の原因(条件)として複数のものが考えられることを表しているだけです。 系統図でわかることは、特定の構成要素にはいろいろな原因(条件)が関係ありそうだということを表しているに過ぎません。
そして、別の系統に含まれる構成要素同士に関係があるのかないのかがまったくわかりません。 したがって、特性要因図、原因結果系統図、目的手段系統図、機能系統図、構成系統図などの系統図を使った問題解決の場合には、影響の大きな要因を見つけたらその大きな要因からつぶしていくというアプローチになり、鍵を握っているような小さな要因には手が着かないか、もしくは見過ごされてしまう場合があります。
結果として、系統図を使った問題解決の結果は程々となり、新たな問題が再発することがあり得ます(こちらを処理したら、次にあちらを処理するといった、モグラ叩き状態になる)。 モグラ叩き状態から抜け出すには、系統図ではなくて連鎖図を使用することが必要になります。 連鎖図とは構成要素同士を矢印のある線で結んだものですが、次回以降でその内容を詳しく説明していきます。