資源の使い方

理想性の高い解決策を得るには、最低限のコストで目的とする機能を実現することが必要です。そのためには、問題を抱えたシステムあるいはその周辺で適切な資源を見つけなければなりません。

 

TRIZで資源とは、問題を解決するために利用できるシステムあるいはその周囲に存在する何らかの物質、エネルギー、空間、時間、情報、機能などのことです。

 

システムの進化のすべてのステップは何らかの資源を活用することによって支えられるとともに、その進化によってシステム自身にとって、あるいは、他のシステムにとっての新しい進化の資源が生み出されます。

 

問題が解けるかどうかは適切な資源を発見して、それをうまく利用できるか否かにかかっています。

 

理想性の高い解決策はシステムの中に既に存在する資源(以下、既存の資源という。)を活用することで実現します。システムの中に資源が見つからなければ、システムの周辺にある資源を利用することも考えます。

 

必要な既存の資源がない場合には、既存の資源を変化させたり手を加えたりして何らかの変更処理した資源(以下、派生資源という。)を使います。

 

問題解決に必要な資源を明らかにするためには、深く、更に深くと、システムを深く見つめてゆく必要があるという点です。長年解決することができなかった懸案に取組む場合には、「問題を掘り下げる」発想が特に重要です。

 

そのようなケースではほとんどの場合、解決策をもたらす資源は容易には明らかになりません。ですから、今まで気づかなかった資源を発見することが、成功と失敗の分かれ目になるのです。

 

実務的には、新たに発見した既存の資源をそのまま利用するよりも、その既存の資源に変更を加えてた派生資源を使うことが多いといえます。

 

技術システムの進化の過程で様々な構成要素は通常それぞれ独自のテンポで進化します。このため、個々の要素が異なるタイミングでそれぞれに固有の進化の限界に到達することがあります。

 

この状況が引き起こす矛盾のために、システムはそれまでと同じ方向に進化することが不可能になります。

 

一番先に限界に達した要素が、システム全体のそれ以降の進化を妨害するのが普通です。システムを更に進化させるためには、進化を妨害している要素をつきとめて、進化の限界となっている矛盾を排除(解決)しなくてはなりません。

 

システムの進化は「進化の諸段階」のパターンに沿って進みます。S-カーブはシステムの進化の道筋を一般的に表現したものです。

 

現実のシステムは多数の下位システムから成り立っていますが、個々の下位システムに着目するとそれぞれが自分のS-カーブに沿って進化しています。

 

下位システムが異なるタイミングで自分の進化の限界に到達する可能性があるということです。

 

一番始めに限界に到達した下位システムはシステム全体の成長を妨げることになります。この下位システムは自分が成長するための資源を使い尽くしてしまったわけですから、どのようにして状況を改善しよう試みるにせよ、他の下位システムの資源を借りるしかありません。

 

こうして、下位システム同士の間で資源を取り合う競争が生じることになり、これが矛盾の原因となります。

 

システムの成長を継続するためには、ボトルネックとなっている下位システムを明らかにすることは極めて重要です。ボトルネックの下位システムはより進んだものと置き換えなくてはなりません。限界をむかえた下位システムを放置して、手を付けやすい他の下位システムを改良しようとするのはしばしば犯される誤りです。