アイディエーション・ブレーンストーミング

1950年代にアレックス・オズボーンによって発表されたブレーンストーミングは次のルールに従って行われます。
(1)アイデアに対する否定的な判断は保留し後回しにする(批判厳禁)
(2)非凡なアイデアまたは無謀なアイデアも大いに述べる(荒唐無稽)
(3)他人のアイデアに便乗してよい(便乗歓迎)
(4)アイデアが多いほどよい(質より量)
これらの規則はブレーンストーミングに参加しているすべての人、および、出されたすべてのアイデアが等しい価値を持っているという考え方に基づくものです。 しかしながら、オズボーンのブレーンストーミングでは、ブレーンストーミングで得られるアイデアの数は多くないし、ほとんどがいわゆる単なるアイデアといった実施可能性が低いものばかりで、期待するほどの効果が得られないとの批判があります。
ブレーンストーミングの参加者は始めの10~20分程度は、楽しみながら、活発にアイデアを出しますが、それ以降の時間は参加者からアイデアを「搾り出す」ようになるので、参加者はストレスを感じます。アイデアが出なくなると、その後退屈になり会議が低調になります。
I-TRIZでは、従来のブレーンストーミングに代わって、アイディエーションが考え出したブレーンストーミング(以下、アイディエーション・ブレーンストーミングという。)を使います。
その特徴は、ブレーンストーミングと問題解決の案内とを組み合わせて行います。I-TRIZのオペレータシステムがブレーンストーミングのファシリテータの役割を果たします。
オペレータシステムは、アイディエーション社が提供しているアイディエーション・ブレーンストーミング(IBS:Ideation Braunstorming)またはイノベーション・ワークベンチ(IWB:Innovation WorkBench)というソフトウェアに組み込まれています。
IBSはアイディエーション・ブレーンストーミングを行うために特化したソフトウェアであり、本格的なI-TRIZのソフトウェアであるIWBの簡易版に当たります。IWBでは約500種類のオペレータ(解決のヒント:発明パターン)がありますが、IBSではそのうちの135種類だけが採用しています。
アイディエーション・ブレーンストーミングでは、これらのオペレータを切り替えながら使用していきます。 問題状況を複数の課題に切り分け、課題から解決策の指針を導き出します。その指針がどのオペレータを使うかを示唆します。
これによって、ブレーンストーミングの焦点を変化させながら、参加者を解決策の存在する領域の方角に案内していきます。 解決策の指針は、I-TRIZのソフトウェアであるプロブレムフォーミュレータ(PF:Problem Formulator)を使って、問題状況を機能の連鎖で表現する因果関係モデルを描くことで、自動的に入手することができます。
因果関係モデルは、そのルールを覚えてしまえば手書きでも作成することが可能です。また、解決策の指針もソフトウェアを使う場合よりは時間はかかりますが、手書きの因果関係モデルから自分の力で読み取ることができます。
オペレータには、そのタイトルごとに解説がついており、そのどれもが問題解決の素材となる新しい資源を発見する手がかりになるものです。 オペレータは次のように使います。
1)あなたが取り組んでいる状況にオペレータが推奨する方法を当てはめたらどうなるか考えてみてください。
(2)現在、対象としているシステムについてオペレータの推奨に沿って変化させるとどういうことになるか考えてください。
(3)システム(とその周囲)にあるどんな資源を変化させる必要があるか考えてください。
(4)その資源を変化させる方法を考えてください。
(5)そうした変化を起こさせるうえで移用できる資源がないか探してください。
以上の質問に答えるなかで頭に浮かんだアイデアはどれもが問題解決の手がかりとなるかもしれない貴重な資源です。アイデアは後で更に検討することができるように、必ず記録するようにしてください。
IBSやIWBでは、取り組んでいる状況を改善することに役立ちそうなアイデアが浮かんだらば、その場で浮かんだアイデアが記録できるように、アイデアリストを保存するウインドウを開いて書き込むことができるようになっています。
【参考情報】
現在、IBSとPFを使った実践的な問題解決のセミナーを企画しています。セミナーに参加された方には、IBSとPFのソフトウェアをお渡しするとともにI-TRIZユーザーの認定証を授与するというものです。IWBを使いこなすは難しそうだと思っている方は是非、手軽に使えて短時間で結果を出すことができるツールとして、その採用をご検討ください。