類比発想とは、目的とする問題解決に役立つヒントをその問題とは異なる分野から借りてくる発想法のことです。 問題解決に当たって、最初から手間のかかる類比思考をするということはありません。
それよりも、自分の得意な分野の知識を使って論理的思考をした方が、速く楽に問題解決がきます。 なぜ、問題と異なる分野からヒントを得るかというと、すでに問題と同じ分野の知識は調べ尽くしており、そこには使えるものが何も見当たらないからです。
つまり、徹底的な論理的思考が済んでいれば問題意識も高い状態にあるので、手強い類比思考にも立ち向かえるということになります。 問題が解けなくて「うんうん」言っている状態のところへ、異分野の気になる状況(知識)が目の前に現れることで、それまで眠っていた記憶の中の潜在情報が呼び起こされ、それがヒントとなり問題解決の道筋が明らかになるというわけです。
NM法T型は、実際に自分が抱えている問題を解決するために使用するというよりも、類比発想そのものの訓練として利用することが多いといえます。 NM法T型では、最初に、問題のテーマ(TM)が決まったら、そのテーマの本質を表すキーワード(KW)を決めます。
たとえば、「プラスチック製のミルク容器の蓋を開けたときに、ミルクが飛び出してテーブルを汚してしまうので、何とかこれを防ぎたい」ということであれば、ミルクが飛び出すのを抑えるといったイメージを表すキーワード「抑える」を選びます。
次に、キーワードに関連した具体的なイメージを探すために、「たとえば、~のように」というアナロジー(QA)を考えます。 たとえば、「改札口では一人ずつしか通れない」、「やかんから出る蒸気を遮蔽板のようなもので抑える」、「出口から出ようとするものに圧力を加えて封じ込める」といったイメージが浮かびます。
次に、それらのアナロジーの背景(QB)で何が起きているかをイメージします。 たとえば、「人が通れる大きさを制限している」、「遮蔽板を蒸気の吹き出し口に近づけたり遠ざけたりしている」、「事前に外側から圧力を与えている」というようなイメージが浮かびます。
そこで、それらの背景のイメージが、今抱えている「ミルクの飛び出しによるテーブルの汚れ防止」といった問題の解決に役立つヒント(QC)にならないかと考えます。 すると、たとえば、「蓋を剥がしてできる出口の大きさを制限すればいい」、「飛び散ったミルクがテーブルに落ちないように何かで受け止める」、「蓋を剥がしてできる出口に向かって外側から空気を吹き込む」といったことが考えられます。
実際には、一つのアナロジーに関して複数の背景イメージ(QA)を出し、一つの背景イメージ(QA)に対して複数のヒント(QC)を出すようにすることで、問題解決に役立つたくさんのヒントを集めるようにします。
それでも、ヒント(QC)が足りないようでしたら、他のキーワード(KW)を設定して、同じようにヒント(QC)集めをすることになります。 最後に、集めたヒントをいろいろと組み合わせることで、新規性のある実現可能性の高いアイデア(仮説:ABD)を完成させます。 類比発想の訓練ができていると、IWBでオペレータを使ってアイデアを出す作業がはかどることになります。