技術開発のコンサルをしていると、クライアントが抱えているいろいろな問題について相談を受ける機会がありますが、その中で最も大きな課題は「知財戦略や研究開発戦略」と「研究開発のテーマ」の策定方法についてです。
実は、これらは互いに密接に関係している内容であって、管理職や経営者の方々からは「筋のいい研究開発の企画やテーマが出てこない」という話を聞きますし、現場の企画や技術開発の担当者からは「提案する企画やテーマがことごとく却下される」という話を聞きます。
そもそも、日本の多くの会社では、「知財戦略や研究開発戦略」を考える以前に、自社のビジョン(理念)が全社的に理解されていないことが問題だと思います。
ビジョンが将来の見通しである以上、会社は今まで誰も実現できていない内容に取り組むことを掲げているはずです。そのようなビジョンを実現するには、独自性のある研究開発テーマやそれに関連するアイデアを尊重して発展させる企業文化がなければなりません。そして、独自性の強い研究開発テーマを高く評価する仕組みがなければいけません。
もし、そのような仕組みがなければ、それを作らなければなりません。それには、研究開発テーマを絞り込んでいく「ステージゲート法」とは正反対の思考が必要になるでしょう。
従来の日本の製造業が行なっていた品質、コスト、納期への弛まぬ努力は、顧客ニーズに対応した既存製品の改良改善を繰り返すことで市場を獲得することを目指したもの(漸進的イノベーション)です。
それは、成長期にあった日本にとっては大切なことでしたが、成熟期を迎えた現在の日本が再び成長・発展をしていくには、経済を活性化するために必要となる企業の中長期的に達成・持続可能な経済成長率を高めることが必要になります。
そのためには、技術的価値と、ライフスタイルを変えるような意味的価値の両方を進化させるような急進的イノベーションが求められます。
従来のように、競合と同じ商品の企画を続ければ、回避すべき競合の特許が存在していることになるため開発が難しくなり、公知技術が多くあるため特許は取りづらくなります。特許が取れたとしても権利範囲の狭い特許しか取れないことになります。
市場で優位な立場を築きたいのであれば、市場に出たときに競争にならないことが必要であり、そのためには、競合がやっていないことに取り組む必要があります。
大した特許が取れない理由は、そもそも技術力が低いからです。技術力は、研究開発テーマ(目的)と問題解決力(手段)で決まります。技術力を高めるには、研究開発テーマか問題解決力のいずれかに独自性があることが条件になります。
マーケティングの神様であるフィリップ・コトラーによれば、企業の成長戦略として、独自の顧客価値が提供できること(差別化戦略)、同じものを安く作れる独自技術があること(コスト・リーダーシップ戦略)、が必要であるといいます。これらの独自性の基準をクリアするには、取り組んでいる研究開発テーマが誰もやっていないことを、特許情報を対象とした先行技術調査を実施して証明することが必要です。
イノベーションにつながる研究開発テーマとしては、現在の主要プレーヤーが市場から退場しなければならないほどの業界構造に変化を起すものが必要です。それは、自社の技術だけでは太刀打ちできないテーマです。自ら思い描く理想的な姿(ビジョン)を実現するためには、他社の技術を取り込みつつ、原材料調達・生産管理・物流・販売までのサプライチェーンにいる他社を巻き込むことが必要になります。
次世代の事業の柱を考えるのであれば、目線を1つ上げて、産業の目線で事業を考えないと事業を考えることにはならないことを認識すべきである。この技術は一体どういう産業を生み出すだろうか、どういう産業にインパクトを与えるだろうかという話を自分たちで考えるべきである(「なぜ技術経営はうまくいかないか」、時吉康範著、日本経済新聞社発行)、といわれています。
研究開発部門に独自性の高い技術を作る仕組みを構築するのには、アイディエーション・インターナショナル社が開発した次世代商品・サービスの企画手法であるDE(Directed Evolution®)が最適です。社会トレンド、市場トレンド、技術トレンドなどのマクロトレンドや人工システムの進化パターン・ラインといった具体的な法則性がデーターベース化されており、その先人の知恵を参考にして、次世代の事業の柱になり得る研究開発テーマを探索し、次世代商品・サービスのコンセプトを完成させることができます。
5月末までDE(Directed Evolution®)のWebアプリケーションが無料で使用できますので、是非この機会にお試しください。