カーナビの未来予測

以前から気になっている商品があります。それはカーナビです。 日本TRIZ協会のビジネス・経営研究分科会で、カーナビの将来がどうなるか検討しませんかと提案したこともありましたが、そのときは採用されませんでした。
そんな折、先日カーナビの近未来を予測したものを読むことができました。その内容は私が疑問に思っていたことが解けるものでした。 ここで、その予測結果をTRIZの進化の法則と照らし合わせてみようと思います。
まずは、私の古いカーナビの不満な点から。
(1)ハードディスク内蔵タイプで20万円程の高額商品の割に、自動車の道案内だけとはもったいない。
(2)地図情報が自動的に更新されないので、実際の道路状況と異なる場所が結構ある(目標物となるお店が存在しない)。
(3)目的地を指定しても、その50m近辺で案内が終了してしまうので、初めての場所の場合には、目的地近辺で迷ってしまうことがある。
もしかしたら、最新式のカーナビでは、これらすべてが解決されているかもしれませんが・・・。 以上のような問題をすべて解決してくれている近未来のカーナビとは、以下のようなものでした。
(1)車専用のカーナビではなく、車に着脱式の携帯型コミュニケーション・ナビとして生まれ変わる。
(2)インターネットに接続できて、WEBサイトにアクセスでき、最新の地図情報に自動更新される。
こうなると、現在の3GモデルのiPadのような存在ということでしょうか。 着脱式なので、助士席は勿論後部座席に座っている人が自由に使える。 車から持ち出せるので、目的地の近くの駐車場で車を降りてから目的地まで道案内をしてくれる。
目的地である旅館の割引クーポンを車の中から入手できる。 スケッチブックのように、旅先の風景を写生することができる。 観光地の音声ガイドをしてくれる。 他にも、アプリケーション開発次第でいろいろな場面で有効利用ができるものになりそうです。
さて、このような「車に着脱できる携帯型コミュニケーション・ナビ」をTRIZの進化の法則から眺めるとどうなるでしょう。 従来のカーナビは車専用の装置でしたが、これが汎用の装置に変わるということです。
TRIZの進化の法則には、「技術システムは進化するにつれて、より便利で様々な必要を満足させることができるように、汎用的で多目的なものに変わいく。」という「汎用化の法則」があります。
その意味は、「汎用化の傾向が進むにつれて、システムは変化し易いものになります。これは、汎用的であることは柔軟性に富んで制御性に優れることを必要とするからです。」ということです。
さらに、従来のカーナビはハードウェアとソフトウェアが一体でしたが、それらが分離されます。 TRIZの進化の法則の「分割の法則」によれば、「分割によってシステムの要素の相互関係が一新され、その結果システムを改良するための新しい資源が生まれる。」とし、分割する効果的な方法として、物体を取り外し可能にする、分割された部分間の結合の緩和などを挙げています。
従来は、ハードウェアとソフトウェアが一体になったカーナビを最初から車に装備したものを購入するか、後からカー用品店で購入して車に取り付けるしかできませんでしたが、ハードウェアとソフトウェアが分離されれば、ハードウェアは家電量販店で購入し、必要に応じて車に取付て使用したり車から取り外して携帯することが可能になります。
カーナビとしてのアプリケーションは、自分の好みのものをソフト開発会社やその販売店から購入することができることになります。 こうなると、近未来のカーナビに関連して、新たなビジネスがたくさん生まれそうです。
皆さんもいろいろなアイデアを出してみたらどうでしょう。特許取得可能なものが生まれるかもしれません。