特性要因図と因果関係ダイヤグラムとの違い

QC(Quality Control)活動で使われている問題解決法は、不具合を生じているのはどこに原因があるのか、細部に分けて調べ、悪い部分を改善していこうという分析思考を中心としたものです。
全体を細かい要素に分け、1つひとつを検討し、悪い部分を置き換えるというアプローチを採用しています(「こんなにやさしいアイデア発想法」、杉浦正他著、(株)日科技連出版社発行)。
これは明らかに因果関係の法則を利用した手法であるといえます。たとえば、1つの問題の特性について因果関係をたどっていき、最終的にはいわゆる「魚の骨」のように多数の原因に枝分かれした「特性要因図」が作成されます。
ただし、「特性要因図」の場合には、各大枝の要因に関連する中枝の要因や小枝の要にどのようなものがあるかはわかりますが、異なる大枝、中枝、小枝間の要因同士の関係はまったくわかりません。 そのため、その問題を解決するには、多数の原因の1つひとつを排除していく改善策を考えます。
現実的には時間と労力に限りがありますので、全体の結果の8割が、たかだか2割の原因によって生じているという「パレートの法則」に従い、重要度が高いと思われる主要な要因を2つ、3つ選んで手を打つことになります。
1つの特性(状態)は複数の要因(原因)の影響を受けているといった内容が表現がされていますが、中枝や小枝同士の関係がわかりませんので、どの要因(原因)に手を加えればよいかの判断が難しいといえます。
特性要因図が因果関係を表している点では、I-TRIZのプロブレム・フォーミュレータで描く因果関係ダイヤグラムと同じです。 特性要因図では、同じ系統または/および異なる系統の大枝、中枝、小枝間の要因同士は接続されることがありませんが、プロブレム・フォーミュレータの因果関係ダイヤグラムでは、データ間に原因と結果の関係にあれば異なる系統(機能群、部品群)の間のものであっても、原因から結果に向かう矢印で接続します。
そのため、問題のメカニズムが明確になり、不具合である結果から矢印を逆方向に辿ることで、その根本原因が何なのかがを知ることができます。 したがって、因果関係ダイヤグラムを使用すれば、パレートの法則に頼ることなく直接根本原因を取り除くための対策を検討することができます。