「問題は、その状況が明確になれば解決できたものと同然である。」といわれるように、問題解決に先立ち、問題の状況を分析し、問題を正しく定義して、取り組むべき具体的な課題を明確にすることが重要になります。
問題の状況を「見える化」するための方法は、従来からいろいろな図解ツールが考えられており、そのための解説書がたくさん発行されています。ここでは、その中で「因果縁報」を表現できる「因果関係ダイヤグラム」を紹介し、その使い方を実例に沿って説明したいと思います。
ここでいう「因果縁報」を表現できる「因果関係ダイヤグラム」とは、I-TRIZ(Ideation TRIZ)の「原因結果ダイヤグラム」とTOC(Theory of Constraints:制約条件理論)の「論理ツリー」であり、いずれも比較的最近になって考え出されたものです。
I-TRIZの「原因結果ダイヤグラム」は、米国のアイデイエーション・インターナショナル社(Ideation International Inc.、以下II社という。)が開発したイノベーション・ワークベンチ(IWB:Innovation WorkBench)およびプロブレム・フォーミュレータ(PF:Problem Formulator)というソフトウェアで使われている図解ツールです。
イノベーション・ワークベンチ(IWB)のソフトウェアの日本語版(2.9J)が学校法人産業能率大学から販売されたのが2000年です。 TOCの「論理ツリー」は、TOCの創始者であるエリヤフ・ゴールドラットの著作による「ザ・ゴール2」という小説の中で、思考プロセスという手法のツールとして紹介されたのが最初ですので、日本では2002年に公開されたものです。