「人間にとってのニーズの進化」の進化のライン(参考情報)

「人間にとってのニーズの進化」の進化のラインの参考情報として、

(1)ニーズの社会的意味・内容、
(2)技術システムの主なニーズ、
(3)ライフサイクルの各段階でシステムに進化を促す力

、の3つがあります。

「(1)ニーズの社会的意味・内容」の進化のラインでは、
①あるニーズに関して最小限の充足度が、たとえば、完全な充足へと変化。→
②ニーズを充足させることに関連する不便や否定的感覚の低減あるいは排除
(たとえば、食事の準備をしなくてもよくなる。これは、次の順に進展します:
a.明らかな問題、あるいは大きな問題の排除-不可欠なこと、
b.目立たない問題や不便さの発見と排除、
c.潜在的危険の排除)。→
③ニーズを充足させることに関連する肯定的な感覚の程度の向上
(これには、次の2つの形態があります:
a.何らかの特定のニーズの開発を通じて。たとえば、食べ物の旨さを求める、
b.様々なニーズを結びつけることを通じて。たとえば、おいしい食事に美しい食器、更にすばらしいサービスを受けながら、良き友人達と一緒に食事する)
、のように進みます。

技術システムは人間のために働くわけですが、他方では人間が手間をかけて技術システムのニーズを充足させている側面もあります。

実際、人間は人工システムで満たされた居住環境と共生しバランスをとりながら生きているわけです。人間が身の回りの保全をおろそかにすれば、居住環境は劣化してゆきます(例:手入れされていない家は傷んでしまいます)。

居住環境の保全という機能は真っ先に自動化、機械化、専門的サービスへの移行の対象とされる分野です。このようにして、環境の保全がおこなわれることによって人々にとっての理想性の水準が向上し、居住環境からより良い便益を受け取ることができるようになります。

「(2)技術システムの主なニーズ」の進化のラインでは、
①システムの存在の確保(防護)
(a.外的要因からの防護、b.破損、機能不良からの防護、c.誤用からの防護)。→
② システムの安全の確保
(a.誤作動からの安全、b.不適切な使用からの安全、c.破損と誤動作からの安全)。→
③システム生産のための資源
(a.空間、時間、物質、エネルギー、情報などの資源、b.生産のための用具・装置、c.生産に関る人)。→
④システムとして存在するための資源
(a.空間、時間、物質、エネルギー、情報などの資源、b.整備(保守))。→
⑤システムとして持続可能にするための資源
、のように進みます。

「(3)ライフサイクルの各段階でシステムに進化を促す力」の進化のラインでは、
①段階 0
(a.個人的利害-特定の人びとの熱意、好奇心、創造的意欲、野心、資金など、b.上位システムあるいはより高次の様々なシステムがそれ自身発展するために特定の機能が実現されることを求める要請)。→
②段階 1
(a.個人的利害-一般的に成功を求める願望、b.集団の利害-既存の人間集団の安定と成長、c.金銭的利害-投資に対する利潤のニーズ、大きくて競争の少ない市場の魅力、d.社会的関心-新しい、未発見のニーズの充足、e.上位システムの要請)。→
③段階 2
(a.個人的利害-出世への願望、b.集団の利害-集団の成長・拡大、c.金銭的利害-安定した高い利益の確保、大きく未飽和な市場と、投資への見返りの早期回収への期待、d.社会的関心-絶えず増加する社会的ニーズの充足、e.上位システムの要請)。→
④段階 3
(a.個人的利害-出世への願望、b.集団の利害-官僚的組織の成長と拡大、c.金銭的利害-安定的で十分な利潤、d.社会的関心-社会の継続的ニーズの充足)。→
⑤段階 4
(a.個人的利害-来るべき難関を生き延びたいという希望、b.集団の利害-官僚的組織の自己保存、c.金銭的利害-損失の管理と補填、d.社会的関心-突然の市場崩壊と連鎖反応による不況の回避)。→
⑥段階 5
(a.個人的利害-寿命のきたシステムから何らかの限定的利潤を生み出して退職後の生活を守ろうという願望、b.新たな活用分野を発見し、異なる市場セクターで段階2の状態に戻ろうとする試み)
、のように進みます。