「市場における製品進化の様相」の進化のラインには、(1)製品が充足するニーズの拡大、(2)ニーズを充足するシステム(仕組み/製品)の進化、(3)ニーズを充足する機能の進化、(4)ニーズを充足する製品の進化、(5)市場に流通する製品の多様性の増加、などが考えらえます。
「(1)製品が充足するニーズの拡大」の進化のラインでは、①欠かすことの出来ない重要なニーズの充足(・最低限度の充足、・大多数の人々にとって十分といえる程度の充足、・過度の充足)→②付随的あるいは追加的なニーズの充足→③不必要または有害な(きまぐれによる、あるいは、倒錯的などの)ニーズの充足、→④新しい、以前には存在しなかったニーズの創出と充足、→⑤様々なニーズを充足する多様な可能性と方法相互間での矛盾の発生とその解消、→⑥ニーズの創出と充足過程の制御(調整)、のように進みます。
「(2)ニーズを充足するシステム(仕組み/製品)の進化」の進化のラインでは、①新しい、または、大きく変化したニーズの創出(発見)。→②新しいニーズを充足する機能の発明。→③機能を実現する手段の発明とニーズを充足するシステムの発明。→④ニーズをより良く充足することを目的とする機能の発展。→⑤追加的なニーズの出現。→⑥追加的ニーズを充足する追加的機能の導入。→⑦システムに伴う不都合あるいは有害な機能の排除あるいは補償(埋め合わせ)。→⑧システムが充足する複数のニーズの間の優先度の変化とそれに対応するシステムの変化。→⑨既存の機能を実現する目的を持った抜本的に新しいシステムの創出。→⑩既存のニーズを充足する目的を持った新しい機能の創出、のように進みます。
「(3)ニーズを充足する機能の進化」の進化のラインでは、①特定のニーズを充足する機能とシステムの発明。→②当該のニーズをより良く充足することを目的とする主要な機能の進化と補助的機能の発展。→③追加的ニーズを充足するための付随的機能の導入。→④単一のシステムによる複数の主要な機能の一括的充足。→⑤当該のニーズを充足する革新的なシステムの創出。→⑥当該のニーズを充足する新しい機能の創出。→⑦当該ニーズとそれを充足する方法の進化、のように進みます。
「(4)ニーズを充足する製品の進化」の進化のラインでは、①個人の注文に応えて作る「御用達品」(たとえば、特注品のピストル)。→②ごく少数の特別な人たちのために手作りされる限定品(たとえば、豪華な装飾の 付いたピストル)。→③一定の数に限って購買力のある比較的多数の裕福な人たちのために手作りされる 「御用達品」の代用品(たとえば、超高級な狩猟用品)。→④「御用達品」やその代用品より品質が劣り、必要な機能を得るだけの目的で大量に 作られる量産品(たとえば、初期の量産マスケット銃)。→⑤量産技術の改良によって、しばしば、同時代の「御用達品」よりも優れた性能をもつ ようになった量産品(たとえば、現代の軍用銃)。→⑥製品やサービスの多様化。様々な市場の要求に対応する多様なバリエーションの出現(たとえば、様々なタイプの狩猟用の銃)。→⑦次の可能性をもった順応性のある製品(a.個々の顧客のニーズを充足することのできる大量生産方法の採用(たとえば、個人住宅の建設技術)、b.特定の顧客の注文に合わせて半製品をあつらえる(たとえば、店頭での衣料品の仮縫い、c.顧客が製品を使用する過程で、製品がその顧客のニーズに対応して変化する(たとえば、パソコンのユーザー設定)。)、のように進みます。
「(5)市場に流通する製品の多様性の増加」の進化のラインでは、①1つずつ作られる製品。→②量産される規格品。→③規格に従って複数のバリエーション作られる量産品。→④基本仕様と、それに対する多数の追加や変更の選択肢が設定され、好みやニーズに合わせて購買時に選択したり購買後に変更したりすることが可能な量産品(通常、次のような選択が可能:a.安全性、補足的情報、使い易さ、保管しやすさなどに関連する追加機能、b.装飾、c.楽しさ、快適さ、豪華さ、社会的地位の指標などに関連する追加機能、d.システムの新しい使い方)。→⑤順応性のある(変化する、調整可能な)機能を持った量産品(a.注文時、または、購買時に変えることができる(例:デル・コンピュータ)、b.使用開始時に調整可能(例:自動車の座席)、c.使用中に調整可能(例:ラジオの音量)、d.使用中に個人に合わせる(例:漢字変換辞書))、のように進みます。