抽象的なヒントだけでは発明的問題には歯が立たない

抽象的なヒントとは、従来の創造技法でいえば「オズボーンのチェックリスト」のようなものをいいます。
「オズボーンのチェックリスト」では、アイデアを出すための切り口として、
(1)他に使い道はないか(転用)
(2)他からアイデアが借りられないか(応用)
(3)変えてみたらどうか(変更)
(4)大きくしてみたらどうか(拡大)
(5)小さくしてみたらどうか(縮小)
(6)他のものでは代用できないか(代用)
(7)入れ替えてみたらどうか(置換)
(8)逆にしてみたらどうか(逆転)
(9)組み合わせてみたらどうか(結合)
という9つの視点で考えることを推奨したものです。
オズボーンは広告代理店の業界の人であって、新しい広告のアイデアを出すためにこれらのチェックリストが有効であったということです。
しかし、発明のような、従来にない技術的問題の解決策を考える場合のように、実現可能性のある具体的な技術的手段を考え出すには、これでは力不足といえます。 「(3)変えてみたらどうか」といいますが、問題解決のためには何かを変更することが必要なのはわかりきっています。
これだけでは、どのように変更すればいいのかわかりません。 「(4)大きくしてみたらどうか、(5)小さくしてみたらどうか(7)入れ替えてみたらどうか、(8)逆にしてみたらどうか」は、変更の仕方を教えていますが、一般の技術者であれば設計変更の手段として普通に行っていることです。
したがって、これらのヒントからは、画期的な発明は生まれにくいといえます。 「(1)他に使い道はないか、(2)他からアイデアが借りられないか、(6)他のものでは代用できないか」は、発明の常道と示しているものといえます。
自分の技術分野とは異なる技術分野の知識を活用して問題解決を図ることは、自分の技術分野の専門家にとっては意外な解決策(新しい発明)が生まれる可能性が高いといえます。 しかし、これだけでは、どのような技術分野のどのような知識を活用すればいいのかがわかりません。
「(9)組み合わせてみたらどうか」というヒントは、他の8つのヒントによって考えついたアイデアを組み合わせることで、よりレベルの高い発明を完成しようとする場合に必要になります。
しかし、「創造とは既存のものの新しい組み合わせである」という言葉もあるように、具体的な組み合わせ方を提示しない限り、発明を生み出すためのヒントとしては常識的なものといえます。 以上のように、「オズボーンのチェックリスト」それ自体では、通常の思考では対応しにくい発明的問題を解決するヒントとしては有効なものとはいえません。
これに対して、I-TRIZでは発明的問題を解決するために、以下のようなシステマティックで強力な方法論を採用しています。 問題を解決するアイデアとは、「何をする(目的機能)ために、何をどうする(手段機能)」のかを表したものです。
I-TRIZでは、「何をするために」を明らかにするためと解決の方向性を探るために、問題を多観点(システムの階層(空間)、システムの変化(時間)、システムの機能(入力、出力)、システムの因果(原因、結果))で分析する「システム・アプローチ」を採用しています。 I-TRIZでは、「何をどうする」の「何を」を明らかにするために、問題解決に使える対象を洗いざらい見つけ出すために「資源把握」をします。
ここで、対象のことを「資源」といい、システムとその周辺に存在する物質資源、場(エネルギーや力)の資源、空間資源、時間資源、情報資源、機能資源を探し出すことになります。
これらの「資源」は「システム・アプローチ」を実行することで明らかになります。 I-TRIZでは、「何をどうする」の「どうする」を考え出すために、あらゆる技術分野に共通する技術的手段の本質概念を整理した約440種類の「オペレータ(指針)」を使用します。ただし、本質概念だけでは抽象的なので、「オペレータ」にはその具体例を示す事例(イラスト)が少なくとも1件付加されています。
以上のとおり、I-TRIZは「何をする(目的機能)ために、何をどうする(手段機能)」といったアイデアを完成するための具体的な手法として、「システム・アプローチ」、「資源把握」、「オペレータ・システム」を提供しています。 さらに、I-TRIZでは、アイデアを完成する思考プロセスと完成したアイデアを因果関係ダイヤグラムとして表現する「プロブレム・フォーミュレータ」も提供しています。
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