システム内の作用の「進化のライン」

条件に応じて特定の場所や特定の時間に作用の強度を増加、減少、または安定化させるなど、作用のいかなる操作も、何らかの制御になります。

 

システム内の作用の進化のラインは、(1)作用の制御可能レベルの向上、(2)作用の種類の変化、(3)流れを使った作用の制御、(4)時間資源の利用、(5)作用の空間の制御、(6)環境への関与、(7)媒質を変えることによる作用の制御、が考えられます。

 

「作用の制御可能レベルの向上」では、①制御システム(物)の導入→②制御場の導入→③制御場の下のでの制御物の導入→④フィードバックまたはフィードフォワードを用いた制御→⑤一作用に代えて、複数作用のチェーンを導入し、その内少なくとも一作用を制御する→⑥巧みに制御された逆作用の利用→⑦主たる作用を、別の作用の制御に利用、といったラインに従います。

 

「作用の制御可能レベルの向上」の進化のラインの例としては、①水流を制御するためにバルブを使う→②水流を制御するために水圧を変える→③場により制御されるバルブ(ソレノイド、モータ制御など)→④定圧を維持するフィードバック制御を行うバルブ→⑤深絞りスタンピング(プレス)において、複数のステージの各々で寸法を精密制御することは難しいので、主に最終ステージで規定寸法に精密に合わせる→⑥正確に計量しがたい物を容器に正確な量だけ入れるために、まず過剰に物を入れ、次に余剰分を取り去る→⑦オリジナルの無線信号を増幅の制御に利用する、などが挙げられます。

 

「作用の種類の変化」の進化のラインでは、①異なるレベルのエネルギー密度を持つ作用を利用する←→②異なるレベルの物質構造上で進行する作用を利用する、といったラインに従います。

 

「作用の種類の変化」の進化のラインの例としては、①機械、ガス、プラズマ切断←→②機械、化学、電気研磨、などが挙げられます。

 

「流れを使った作用の制御」の進化のラインでは、ある作用またはそれに接続された他の作用で利用されているエネルギーまたは物質の流れを操作することで、その作用を制御できる可能性を検討してください。

 

「流れを使った作用の制御」の進化のラインでは、①システムに入る流れ(入力)を操作する←→②システムから出る流れ(出力)を操作する←→③作用が行われる媒質を操作する←→①システムに入る流れ(入力)を操作する、といったラインに従います。

 

「流れを使った作用の制御」の進化のラインの例としては、①電圧を使って電動モータの速度を変える←→②電動モータの速度を変えることで電動モータの負荷を変える←→③機械加工時に冷却液を使う←→①電圧を使って電動モータの速度を変える、などが挙げられます。

 

「時間資源の利用」の進化のラインでは、①作用前の時間を利用(事前の予備的操作→部分的な事前の予備的操作→事前の予備的配置)→②作用中の時間を利用(休止を使って利用→無駄時間をなくす→並行動作→グループ処理→交互動作)→③作用後の時間を利用(決定的、完結的な動作→熟成(治癒))、といったラインに従います。

 

「時間資源の利用」の進化のラインの例としては、①作用前の時間を利用(ペットボトルのキャップを開け易くするミシン目→硝子を切るとき、傷を入れた後にガラスを割る→収穫時にミックスされるよう、複数種類の穀物をミックスして一緒に畑に植える)→②作用の時間を利用(溶接時にストロボをたいて溶接個所の写真を撮る→鍬を引いて畑を耕すとき、常に土を同じ方向へ掘り起こす必要がある。右向きと左向きの刃を使うことで、往路でも復路でも同じ方向へ掘り起こすことで、復路でも有効利用する→エッチング対象の複数部品を、同時処理でエッチングし脱脂する→硝子板を削る時、複数板の硝子板を束ねることで割れを防止する→厚板を溶接する時、より深くまで届く複数の電極を順番に使う)→③作用後の時間を利用(原油の輸送と処理を同時に行う→バナナを緑のうちに収穫し、市場へ輸送中に熟させる)、などが挙げられます。

 

「作用の空間の制御」の進化のラインでは、①点作用(単点作用(1つの点での作用)→多点作用(複数の点での作用)→移動可能な作用(作用点が特定経路を移動する))→②線作用(単線作用(1つの線に沿った作用)→多線作用(複数の線に沿った作用)→複雑線作用(多角形や螺旋などの複雑な線に沿った作用)→移動可能な作用(作用線が特定経路を移動する))→③面(表面、境界面)作用(単面作用(1つの面上での作用)→多面作用(複数の面上での作用)→複雑面作用(双曲面、楕円面、メビウスの帯などの複雑な面での作用)→移動可能な作用(作用面が特定経路を移動する))→④立体作用(単立体作用(1つの立体内での作用)→多立体作用(複数の立体内での作用)→複雑立体作用(多孔、間隙、共鳴構造など複雑な形状を持つ立体内での作用)→移動可能な作用(作用立体が特定経路を移動する))、といったラインに従います。

 

作用の変遷は循環的(捉え方に応じて変わる。たとえば、点も立体といえる。)です。①点作用→②線作用→③面作用→④立体作用→①点作用→・・・。

 

「作用の空間の制御」の進化のラインの例としては、①点作用(電灯→外科手術用の多重→TVスクリーン面上での走査点)→②線作用(単線フィラメント(白熱灯)→多線フィラメント(白熱灯)→螺旋フィラメント(白熱灯)→娯楽(ショウなど)用のレーザビーム演出(白煙中の光線など))→③面(蛍光灯(一層コートによる発光)→高輝度蛍光灯(多層コート)→集光形蛍光灯(放物面コート)→ミラーボール(壁、天井、床上で動く光点))→④立体作用(水銀灯(ガス体積が発光する)→多色発光レーザにおける複数種の結晶→ニオブ化学(液体)レーザ→移動可能で自在に形状が変わる液体を使った化学レーザ)、などが挙げられます。

 

「環境への関与」の進化のラインでは、①環境からシステムを保護→②システムからの環境の保護→③環境の自動的な使用→④環境を積極的に活用、といったラインに従います。

 

「環境への関与」の進化のラインの例としては、①アルゴン雰囲気中での溶接→②自動車用触媒コンバータ→③船は海水を浮きまたは錘として受動的に使う→④内燃機関は空気を使う、などが挙げられます。
「媒質の変更による作用の制御」の進化のラインでは、①当該作用・システムに特化していない媒質(a.媒質・環境から作用を保護する(自然的媒質(空気、水、大地など)→生命活動的媒質(たとえば、畜産場で出る化学的に非常に活性な廃棄物)から→技術的媒質(排ガス、産業廃棄物など)から)→b. 作用、作用による消費、作用の結果から媒質・環境を保護する(空気→水→大地→宇宙)→c.媒質を利用する(媒質物質をそのまま、システムに取り込まずに利用する→媒質物質を変化させ、システムに取り込まずに利用する→媒質物質をそのまま、システムに取り込んで利用する→媒質物質を変化させ、システムに取り込んで利用する(システム、媒質を保護する境界層として利用→システムの構成要素として利用)→拡張的なシステム資源として媒質を使う→媒質場をそのまま使う→媒質場を変化させて使う(エネルギー種類を変更、エネルギー流を集中させるなど)→追加の有用資源の供給源として媒質を使う→②当該作用・システムに特化した媒質(a.保護用の媒質(環境の影響から保護→システムで作られる有害要素から保護)→b.作用を強化する媒質)、といったラインに従います。

 

「媒質の変更による作用の制御」の進化のラインの例としては、①当該作用・システムに特化していない媒質(a.媒質・環境から作用を保護する(自然的、生命活動的、技術的媒質のいずれについても:保護用の塗料、エナメル、コーティング、酸化膜など)→b. 作用、作用による消費、作用の結果から媒質・環境を保護する(触媒式排ガス浄化装置→排水浄化フィルタ→樹木、草原、森林)→c.媒質を利用する(飛行機は空気を利用する、船は水を利用する→水冷却塔は空気を利用するが、そのとき空気を少しだけ変化させる→船はバラストとして海水をそのまま取り込んで利用する→媒質物質を変化させ、システムに取り込んで利用する(海水の氷の層で船体外面を腐食から保護する→熱気球は外気を熱して部品として取り込む)→燃焼使用済みの空気を拡張用途(加熱、増速など)に利用する→材料の自重送り→太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーを変化させて利用する→空気を窒素、酸素、水素などの供給源として利用する、などが挙げられます。