TRIZでは、問題を生み出している矛盾を浮き彫りにすることで、その矛盾の解決が容易になるとの考えから、問題解決をする際に、現状を一切変えずに目的を果たそうとする問題の捉え方をします。
これを最小問題といいます。 これに対して、現状にこだわらず、制約条件を一切考えずに目的を果たそうとする問題の捉え方(ゼロベース思考)を最大問題といいます。 TRIZでは、最初に最小問題に取り組み、その後最大問題へと取り組みの幅を広げていくことになります。
TRIZの手順書としてのARIZの最初のステップで、最小問題の状況を明らかにすることを行います。 その要領は、「すべては当初のまま変化しない、あるいは単純化される。しかしその一方で、求められる作用(状態)が得られる、あるいは有害な作用(状態)がなくなっている。」といった状況をイメージすることになります。
つまり、いわゆる「究極の理想解」を最初にイメージすることになります。 最小問題の状況を定義するのは、問題を解きやすくするために問題の一部分に焦点を当てるということではありません。むしろ、「何もしないで目的とする結果だけを得る」といった制約を追加することで、問題に本来的に含まれている対立状況を明確にし、妥協策を採用する逃げ道を与えないことを目的としていると考えるべきです。
現実的な問題の解決に当たっては、矛盾を解決するための現実的な手段を考える方法を採用するということです。 現実的な問題解決の対極には、将来の問題を予測して予めその問題に対処するための手段の流れをまとめたシナリオを作成するといった、未来の問題解決があります。
このような未来の問題については、I-TRIZのDE(Directed Evolution:戦略的世代進化)が有効です。 DEでは、技術の進化の法則だけではなく、市場の進化、社会の進化、人間の心理的な進化までを考慮し、あらゆる進化の可能性を探ることで、どうしたら自分たちが望む方向へ舵を取ることができるかを考えます。
つまり、未来の問題解決では、未来を創造するために最大問題に取り組むことになります。 しかし、自分たちが望む方向へ舵を取る上で、多くの具体的な問題にぶつかることが考えられますので、それらの具体的な問題を解決する際には、やはり最小問題と取り組むことが必要になります。