論理思考とイメージ思考との関係

前回は、「ひらめき」は無意識の脳の機能であるため、意識的に得ることはできないといいました。

しかし、「ひらめき」が起きやすい環境を整えることはできるともいいました。

その方法は、対象となる問題について論理思考で徹底的に考えること。つまり、もうこれ以上考えられることはないと思えるまで考えること。ここまでは、意識してできることです。

この段階まで来ると意識側からの手立てがなくなり、意識の脳はその働きを停止しますが、常にその問題が気になる状態が作り出されます。すると、自動的に無意識の脳が過去のイメージ記憶の中を問題解決に役立つヒントを走査し始めます。

そして、あるとき突然その解決のヒントがひらめくことになります。しかし、いつひらめくはわかりません。何等かの外部刺激が影響しているはずですが、今すぐひらめかそうとしてもひらめくわけではありません。

実は、人間には意識的な論理思考と無意識の脳の働きの他に、意識的に行えるイメージ思考という思考方法があります。

私たちは、日常的に外部から新しい情報を取り入れて、「コトバにつながっているいつでも思い出せるイメージ記憶:◎」を増やすことを行っています。

そうすることによって、自分の持っている膨大な量の「思い出そうとしても思い出せずに忘れているイメージ記憶:☆」を、「コトバにつながっているいつでも思い出せるイメージ記憶:◎」に変換するようにしています。

そして、「イメージに直結したコトバ記憶:〇」を使って、これとつながっている「コトバにつながっているいつでも思い出せるイメージ記憶:◎」を介することによって、目的とする「思い出そうとしても思い出せずに忘れているイメージ記憶:☆」を引き出すようにします。

そのための手段としては、考えている問題に一見関係のないことをイメージしてみることが効果的です。

その場合のアナロジー(類比)は、身の回りのものや趣味に関係するものの他、うそのない自然界の生物や現象に求めるのがいいとされています。それは、それらにまつわるイメージが豊富だからです。

問題解決に役立つのは、「思い出そうとしても思い出せずに忘れているイメージ記憶:☆」です。

創造技法とか発想法といわれるものは、すべてこの「思い出そうとしても思い出せずに忘れているイメージ記憶:☆」をどのようにして思い出させるかという手法であるといってもいいでしょう。

ブレーンストーミング、ゴードン法、シネクティクス、等価変換理論、NM法、TRIZなども同じです。

そのため、意識しているか意識していないかは別にして、これらはすべてイメージを操作するためのアナロジー(類比)を使っています。