「ひらめき」について

創造的なアイデアを創出することがTRIZの目的の1つであるはずですが、残念ながらTRIZでは「ひらめき」(直観)についての説明はありません。 実務に携わる立場からいえば、創造的思考を指導する上で心許なく感じているところです。
そこで、今回は一般的な創造の世界での「ひらめき」について考えられていることを述べてみたいと思います。 「ひらめき」はそれを意識していないときに生まれるわけですから、無意識の働きであると考えられます。
したがって、無意識の働きである「ひらめき」を利用するには、意識の働きを抑えればいいわけです。 かといって、ただ何も考えないのであれば、無意識の脳機能が特定の問題について働き出すことはありません。
むしろ、その問題についてのあらゆる知識を動員して、意識的にあれこれと熟考することで、常にその問題が気になる状態を作り出すことが必要です。 このような状態までじっくりと考えると、その問題を考えていないときに(その問題から離れたときに)、自動的に無意識の脳機能が働きだして、あるとき突然その問題の解決策がひらめくことになります。
このひらめきが起こるまでの期間を、創造心理学の分野では「あたため」といっています。 つまり、問題を徹底的に考えて上で、あたための期間を持つことで「ひらめき」を得ることになります。
そして、この「ひらめき」を論理的思考で具体化していくことにより、科学的な発見や技術的な発明を完成します。 社会に役立つ科学的な発見や技術的な発明には、問題をよく理解するための論理的思考とひらめきを具体化するための論理的思考が必要であり、さらに、論理的思考だけでは実現することのできない飛躍のためには「ひらめき」が必要になります。
論理的思考だけであれば皆同じ結論にしか到達しないわけですから、論理的飛躍である「ひらめき」こそが、その分野の専門家が容易に想到することのできない発見、発明を生み出す源であるということになります。
I-TRIZでは、システム・アプローチやプロブレム・フォーミュレーションという手法により徹底した論理的思考を行うフェーズと、オペレータを使うことで「ひらめき」を起きやすくする類比思考(創造的思考)を行うフェーズの両方が備わっていますので、大船に乗った気分で気軽に革新的なアイデア創出に取り組むことができます。
是非、一度I-TRIZを体験されることをおすすめします。