趣味と気づき

以前に、発明力と設計力に長けたKさんの趣味が墨絵や切り絵であることはお話ししました。 私には絵心がありませんので、Kさんの作品を拝見しても、ただ感心するだけです。 TRIZではアイデアを出すためのヒントを異分野の知識に求めるように、NM法という発明技法では日常生活や自然界のできごとを参考にすることをすすめています。

自然界にはうそがない、無駄がない。蜂の巣、オウム貝の縦断面、DNAの二重螺旋、雨上がりの虹、・・・、その他自然界における形態、状況、現象には人間には計り知れないことがたくさんあります。 ある人は、この自然界のできごとをとらえて、絵画、音楽、建築の分野と同じく、芸術的であるといいます。

そういえば、発明には、芸術作品に驚かされるのと同じような感嘆や感動といった感情が大いに関係していると思います。 そして、芸術作品を作り出すのも、発明を生み出すのも、あることに驚きを感じる「気づき」といったものが重要な要素であると思います。 芸術作品や自然現象に驚き、そこにある何かに気づけるか否かで、決まる。

一見、発明は技術力で決まるかと思いますが、実はその以前にその人の感性が大きく関係するように思います。 私は、仕事柄セミナーやコンサルで発明の指導させていただく機会が多いのですが、その経験から明言できます。発明は気づきの勝負である。

どうすれば、発明のヒントに気づけるかは、普段から新しいものに興味を持って接することができるかどうかによります。 新しいと感じるということは、今までのものとの比較ができること。何がいままでのものと違うのかを知ること。

そして、子供のようにその違いの理由を知りたがる感性を持っていること。 ところで、エンジニアリングの分野では、技術を評価する基準の一つに、次のようなエレガンス性(芸術性)という考え方があります。

エレガンス性=その解が成し遂げる目的/その解の複雑性 その根拠は、単純なシステムは製造上から見て経済的であり、保全性上からも容易であり、かつ費用が掛からず、また信頼性が高くなる、ということであると思われます。 発明にも芸術と関係する要素があるとすれば、このエレガンス性の高低で発明を評価するのも一考かと思います。