潜在ニーズを探り出す

発明のテーマは、大きく分けて、革新的な問題解決を目的として今まで誰も手を着けていない新しいテーマを選択する場合と、既存の顧客のニーズに応えるテーマを選択する場合とがあります。
研究開発投資の回収といった観点では、前者はリスクが大きく、後者はリスクが小さいといえますが、どちらのテーマを選択するかは、市場の外部環境と会社の内部環境との兼ね合いで、同じ会社であっても時と場合によって異なるでしょう。

大きなリスクを避けて「顧客ニーズ」に応えるテーマを選んだとしても、この「顧客ニーズ」には注意が必要です。
顧客が何を欲しがっているかを知るためには、顧客の声に耳を傾けることが必要であるといいますが、顧客自身が本当は何が欲しいかをよく知らないということがあるからです。

携帯電話でもない、パソコンでもない中途半端な「iPad」が発売後4週で100万台を突破したといいますが、誰がこの売れ行きを発売前に予測できたでしょうか? 新しい商品を見て、初めて「それが欲しかったんだ。」というのが、顧客です。

顧客は、たとえ欲しいもののイメージを持っていたとしても、そのイメージをうまく説明できないということもあります。
つまり、「顧客ニーズ」といったら、顧客が口にしている顕在ニーズではなく、顧客の欲しいものの漠然としたイメージ(潜在ニーズ)を理解することが重要になるということです。

ヒット商品を生み出すには、今までにない新たな商品カテゴリーを提案することがコツであるといわれますが、顧客の「潜在ニーズ」を捉えることが重要であるということをいっているわけです。 それでは、どうすれば顧客の「潜在ニーズ」を捉えることができるか?

この点についての新しい「I-TRIZ」の考え方を、次回以降で説明したいと思います。