日本で最も多く使用されている問題解決に関する技法は、ブレーンストーミングであるといわれています。事実、ゴードン法、シネクティクス、QFD、NM法、等価変換理論、TRIZでも、アイデアを出す際にはブレーンストーミングを使っているわけです。
ブレーンストーミングは広告代理店のアレックス・オズボーンによって考え出されたもので、次のルールに従って行われます。
(1)アイデアに対する否定的な判断は保留し後回しにする(批判厳禁)
(2)非凡なアイデアまたは無謀なアイデアも大いに述べる(荒唐無稽)
(3)他人のアイデアに便乗してよい(便乗歓迎)
(4)アイデアが多いほどよい(質より量)
ブレーンストーミングを行う際には、まずどういう問題を解決すべきかはっきりさせた上で、固定観念を捨てて何らの制約を設けずに自由連想するという。また、画期的なアイデアを生み出すためには、できる限り遠くの世界にさまよい出ることが有効であるといいます。
しかしながら、ブレーンストーミングで得られるアイデアの数は多くないし、ほとんどがいわゆる単なるアイデアといった実施可能性が低いものばかりで、期待するほどの効果が得られないとの批判があります。
アイデアの数を増やすためには、問題に詳しい専門家を参加させることはもちろん、全員が発言することを前提としたものでなくてはなりません。しかし、日本人は「こんなのは笑われる」、「実現可能性が乏しい」と自分で自分のアイデアを評価してしまい、結果的に発言しないことが多いため、ブレーンストーミングをやってもたくさんのアイデアが出ることはありません。
そのような日本人の性格に合ったブレーンストーミングがあります。それを「ブレーンライティング」といいます。「ブレーンライティング」はドイツ人のホリゲルが開発した635法を、バッテル記念研究所のスタッフが改良したアイデア発想法です。
「ブレーンライティング」では、ブレーンストーミングのような議論のようなことはせず、全員に配られたシートの上にアイデアを書いていきます。「ブレーンライティング」は6人1グループを原則として行いますので、グループに6枚のシートが必要です。
決められた時間(通常5分)でアイデア(3件)をシートに記入していきます。「ブレーンライティング」には、前の人が記入したアイデアと同じアイデアは記載できないというルールがありますので、これを守ります。
アイデアを記載したシートは回覧板のように次の人へと順番に回していきます。すると、6人×5分=30分で一巡します。1シートに6人×3件=18件のアイデアが記載されますので30分で6シート×18件=108件のアイデアが出ることになります。
ブレーンストーミングではじっくり考えることはできませんが、「ブレーンライティング」では持ち時間の5分間は熟考できますので、日本人の性格に合っています。