オペレータを使って社内にI-TRIZを普及させる方法を考える(6)

「どうしたらTRIZを社内の研究者、技術者に普及できるだろうか」という問題をI-TRIZで簡単に解いてみる試みの6回目です。
I-TRIZの基本ソフトウェアであるIWBの最初の「問題の情報把握」の工程には、「状況の要約」という欄から見ることのできる「標準問題」の項目をクリックすると、以下のような17項目のリストが表示されます。
「(1)生産性を改善する、(2)利便性を改善する、(3)信頼性の向上、(4)機械的強度を改善する、(5)製造精度を改善する、(6)コストを低減する、(7)単純化、(8)重量を軽減する、(9)エネルギー消費を低減させる、(10)浪費時間を減少させる、(11)
機能効率を向上させる、(12)変形、ずれ、衝撃、振動、破壊を抑制する、(13)騒音を低減させる、(14)摩耗を低減させる、(15)汚染を軽減する、(16)過熱を回避する、(17)環境との相互作用を減少させる」
今回は2番目の「利便性を改善する」をクリックします。すると、「システムをより使い易くする方法を見つけるには、以下のオペレータに沿って考えてください。」という推奨文に続けて、「(1)有取り外し可能(モジュール化)、(2)セルフサービス、(3)模型・コピー、(4)使い捨て、(5)視覚特性を変える、(6)透過性を変える、(7)媒介物質、(8) 膨張する構造、(9)特性の最適化、(10)道具を人に合わせる」という項目の記載と、その下に「輸送を容易にする方法」のオペレータとして「(1)重い部分と軽い部分に分割、(2)重量物の移動、(3)特性の最適化、(4)膨張する構造、(5)重量の補整1、(6)重量の補整2、(7)他の力による補整、(8)ある物を活かす」が記載されています。さらに、その下に「関連項目」として「(1)物質の一時的使用」という項目の記載が表示されています。
10番目に記載されている「道具を人に合わせる」をクリックすると、「使用者の能力や好みを考慮に入れて、その動作や道具を使用者に合わせることを検討してください。」という解説と、「道具を人に合わせる」に関連した「(1)卵に日付印を押す、(2)磁気による血管の測定」という過去の具体的事例を参照することができます。
I-TRIZの標準的なモジュールには、(1)システムアプローチ(多観点分析)、(2)プロブレム・フォーミュレーション(因果関係ダイヤグラムの作成)、(3)利用可能な資源の把握、(4)問題発生のメカニズム分析(不具合分析)、(5)オペレータ・システム、(6)アイディエーション・ブレーンストーミング、(7)二次的問題の解決(実装性の向上)、(8)実行時の不具合予測と予防、(9)進化のパターン/ラインの適用、といったものがあります。
これらの標準的なモジュールはあらゆる問題を想定して作られたものであるため、問題によっては、I-TRIZを使用する研究者、技術者のスキルに合わせて、標準的なモジュールの一部のみを使用して問題解決に取り組むことがあってもいいわけです。
システムアプローチを使って問題状況の分析をしっかりやることで、問題解決の糸口がつかめれば容易に問題解決できてしまう場合もあります。
因果関係ダイヤグラムを作成して問題のメカニズムを明らかにすることで、排除すべき根本原因が見つかれば容易に問題解決できてしまう場合もあります。
また、通常は因果関係ダイヤグラムを作成したのちに得られる問題解決の指針(課題)の種類に応じて使用できる(1)有害機能の排除、軽減、防止のオペレータ、(2)有益機能を得る他の方法を探すオペレータ、(3)矛盾の解決のオペレータを使用して解決策を考えますが、最初から問題に合ったオペレータを直接使用してもよいことがあります。
問題の種類に応じた解決ヒントを集めた「標準問題のオペレータ」、システムの理想性を高めるために使用する「進化のパターン/ラインのオペレータ」、技術革新に役立つ科学的・技術的知識を、資源を変更する仕方の種類または技術分野別に整理した「革新ガイドのオペレータ」は、課題が明確になっている場合にはそれに応じたオペレータを直接使用します。
たとえば、今回使用している「標準問題のオペレータ」では、「(1)生産性を改善する、(2)利便性を改善する、(3)信頼性の向上、(4)機械的強度を改善する、(5)製造精度を改善する、(6)コストを低減する、(7)単純化、(8)重量を軽減する、(9)エネルギー消費を低減させる、(10)浪費時間を減少させる、(11)機能効率を向上させる、(12)変形、ずれ、衝撃、振動、破壊を抑制する、(13)騒音を低減させる、(14)摩耗を低減させる、(15)汚染を軽減する、(16)過熱を回避する、(17)環境との相互作用を減少させる」といった標準的な問題ごとに個別のオペレータが用意されています。
そこで、自分の問題が摩耗を減らしたいという問題であれば、ズバリ「(14)摩耗を低減させる」というオペレータにアクセスし、「(1)有害作用の原因の使用、(2)予測される摩耗に合わせた形状、(3)有害作用の局所的な緩和、(4)分離物質の使用、(5)反対の作用による中和、(6)有害作用の発生防止、(7) 有害作用との組合せ、(8)並列処理による復元、(9)欠点を隠す」といった具体的なオペレータの提案文に従ってアイデア発想をすることができます。
I-TRIZの思考プロセスに組み込まれている標準的なモジュールを順番通りにすべて使う必要はありません。
「道具を人に合わせる」というオペレータによれば、目的はI-TRIZの思考プロセスをそのまま使うことではなく問題を解決することにあるわけですから、問題の種類に応じておよび/または使う人の都合に合わせて使用するモジュールを選択的に使用することを考えるとよい、との提案ができます。