オペレータを使って社内にI-TRIZを普及させる方法を考える(2)

「どうしたらTRIZを社内の研究者、技術者に普及できるだろうか」という問題をI-TRIZで簡単に解いてみる試みの2回目です。
I-TRIZの基本ソフトウェアであるIWBの最初の「問題の情報把握」の工程には、「状況の要約」という欄から見ることのできる「標準問題」の項目をクリックすると、以下のような17項目のリストが表示されます。
「(1)生産性を改善する、(2)利便性を改善する、(3)信頼性の向上、(4)機械的強度を改善する、(5)製造精度を改善する、(6)コストを低減する、(7)単純化、(8)重量を軽減する、(9)エネルギー消費を低減させる、(10)浪費時間を減少させる、(11)
機能効率を向上させる、(12)変形、ずれ、衝撃、振動、破壊を抑制する、(13)騒音を低減させる、(14)摩耗を低減させる、(15)汚染を軽減する、(16)過熱を回避する、(17)環境との相互作用を減少させる」
今回は2番目の「利便性を改善する」をクリックします。すると、「システムをより使い易くする方法を見つけるには、以下のオペレータに沿って考えてください。」という推奨文に続けて、「(1)有取り外し可能(モジュール化)、(2)セルフサービス、(3)模型・コピー、(4)使い捨て、(5)視覚特性を変える、(6)透過性を変える、(7)媒介物質、(8) 膨張する構造、(9)特性の最適化、(10)道具を人に合わせる」という項目の記載と、その下に「輸送を容易にする方法」のオペレータとして「(1)重い部分と軽い部分に分割、(2)重量物の移動、(3)特性の最適化、(4)膨張する構造、(5)重量の補整1、(6)重量の補整2、(7)他の力による補整、(8)ある物を活かす」が記載されています。さらに、その下に「関連項目」として「(1)物質の一時的使用」という項目の記載が表示されています。
最初に記載されている「有取り外し可能(モジュール化)」をクリックすると、「対象物を取り外し可能な方法で作ってください。可能であれば、対象物(一部、または全体)を既存のものではなく標準的なモジュールで作ってください。」という解説と、「有取り外し可能(モジュール化)」に関連した「(1)グーテンベルクの発明、(2)組立式トラック、(3)基準となる機械部品」という過去の具体的事例を参照することができます。
このオペレータによれば、「I-TRIZの全思考プロセスを習得する前に、I-TRIZの標準的なモジュールである、(1)システムアプローチ(多観点分析)、(2)プロブレム・フォーミュレーション(因果関係ダイヤグラムの作成)、(3)利用可能な資源の把握、(4)問題発生のメカニズム分析(不具合分析)、(5)オペレータ・システム、(6)アイディエーション・ブレーンストーミング、(7)二次的問題の解決(実装性の向上)、(8)実行時の不具合予測と予防、(9)進化のパターン/ラインの適用、のうちから取り組む問題に応じて有効と思われるもののみを選択的に使用することも考えてみてください。」といった使い方が提案できます。
I-TRIZの標準モジュールはどれも単独で使用しても有用性の高いものですので、即効性を優先する場合には、一つの手であることは確かです。自分に合った標準モジュールを使いこなすことは悪くありません。
実際に私たちのお客様には、たとえば、システムアプローチを単独で使用しただけで具体的な成果を上げているお客様も多くいらっしゃいます。