オペレータを使って社内にI-TRIZを普及させる方法を考える(3)

「どうしたらTRIZを社内の研究者、技術者に普及できるだろうか」という問題をI-TRIZで簡単に解いてみる試みの3回目です。
I-TRIZの基本ソフトウェアであるIWBの最初の「問題の情報把握」の工程には、「状況の要約」という欄から見ることのできる「標準問題」の項目をクリックすると、以下のような17項目のリストが表示されます。
「(1)生産性を改善する、(2)利便性を改善する、(3)信頼性の向上、(4)機械的強度を改善する、(5)製造精度を改善する、(6)コストを低減する、(7)単純化、(8)重量を軽減する、(9)エネルギー消費を低減させる、(10)浪費時間を減少させる、(11)
機能効率を向上させる、(12)変形、ずれ、衝撃、振動、破壊を抑制する、(13)騒音を低減させる、(14)摩耗を低減させる、(15)汚染を軽減する、(16)過熱を回避する、(17)環境との相互作用を減少させる」
今回は2番目の「利便性を改善する」をクリックします。すると、「システムをより使い易くする方法を見つけるには、以下のオペレータに沿って考えてください。」という推奨文に続けて、「(1)有取り外し可能(モジュール化)、(2)セルフサービス、(3)模型・コピー、(4)使い捨て、(5)視覚特性を変える、(6)透過性を変える、(7)媒介物質、(8) 膨張する構造、(9)特性の最適化、(10)道具を人に合わせる」という項目の記載と、その下に「輸送を容易にする方法」のオペレータとして「(1)重い部分と軽い部分に分割、(2)重量物の移動、(3)特性の最適化、(4)膨張する構造、(5)重量の補整1、(6)重量の補整2、(7)他の力による補整、(8)ある物を活かす」が記載されています。さらに、その下に「関連項目」として「(1)物質の一時的使用」という項目の記載が表示されています。
2番目に記載されている「セルフサービス」をクリックすると、「対象物にセルフサービスが可能か検討してください。そのためには、主要機能を犠牲にしても補助機能を実行するか、または主要機能との同時実行を検討します。補助機能を主要素上に移動できれば、補助要素をシステムから除外することも可能になります。特に、補助機能を達成するには、システムの現在のエネルギー、つまり基礎エネルギーの適用を検討してください。」という解説と、「セルフサービス」に関連した「(1)腐食テスト、(2)卵に日付印を押す、(3)電極-光電池、(4)気体と液体を分離する、(5)自己モニタのグラインダ、(6)冷却液の噴出によってベルトを張る、(7)液体巻線の使用、(8)溶接ドラムの自動ブレーキ、(9)輸送中のロータの回転、(10)エナメル塗装」という過去の具体的事例を参照することができます。
このオペレータによれば、「I-TRIZが自分たちの仕事に役立つか否かを評価する段階では、実際のテーマで1~2週間に1回程度の頻度でI-TRIZの思考プロセスに沿った基本作業を行いながら、その合間に基本作業で得たアイデアの評価(実現可能性、新規性の確認などの補助作業)を自分たちで行い、基本作業にフイードバックしていくことでプロジェクトの成功つなげる。」といった提案ができます。
3番目に記載されている「模型・コピー」をクリックすると、「複雑な製品(または、その一部)を単純なものか模型で置換することを検討してください。」という解説と、「模型・コピー」に関連した「(1)理髪師の訓練」という過去の具体的事例を参照することができます。さらに、その下に「参照項目」として「(1)模型またはコピー」という項目の記載が表示されています。
前述のアイデアにこのオペレータを適用すると、I-TRIZが自分たちの仕事に役立つか否かを評価する場合に、「同じテーマのプロジェクトを同時に複数のチームで行うことで、属人的な要素の影響度合いを確認する。」ことや、「同じコンサルプログラムで複数の異なる技術分野のテーマのプロジェクトを同時に行うことで、適用分野によってどのような成果の違いが出るかを確認する。」ことを考えるとよい、との提案できます。