オペレータを使って社内にI-TRIZを普及させる方法を考える(4)

「どうしたらTRIZを社内の研究者、技術者に普及できるだろうか」という問題をI-TRIZで簡単に解いてみる試みの4回目です。
I-TRIZの基本ソフトウェアであるIWBの最初の「問題の情報把握」の工程には、「状況の要約」という欄から見ることのできる「標準問題」の項目をクリックすると、以下のような17項目のリストが表示されます。
「(1)生産性を改善する、(2)利便性を改善する、(3)信頼性の向上、(4)機械的強度を改善する、(5)製造精度を改善する、(6)コストを低減する、(7)単純化、(8)重量を軽減する、(9)エネルギー消費を低減させる、(10)浪費時間を減少させる、(11)
機能効率を向上させる、(12)変形、ずれ、衝撃、振動、破壊を抑制する、(13)騒音を低減させる、(14)摩耗を低減させる、(15)汚染を軽減する、(16)過熱を回避する、(17)環境との相互作用を減少させる」
今回は2番目の「利便性を改善する」をクリックします。すると、「システムをより使い易くする方法を見つけるには、以下のオペレータに沿って考えてください。」という推奨文に続けて、「(1)有取り外し可能(モジュール化)、(2)セルフサービス、(3)模型・コピー、(4)使い捨て、(5)視覚特性を変える、(6)透過性を変える、(7)媒介物質、(8) 膨張する構造、(9)特性の最適化、(10)道具を人に合わせる」という項目の記載と、その下に「輸送を容易にする方法」のオペレータとして「(1)重い部分と軽い部分に分割、(2)重量物の移動、(3)特性の最適化、(4)膨張する構造、(5)重量の補整1、(6)重量の補整2、(7)他の力による補整、(8)ある物を活かす」が記載されています。さらに、その下に「関連項目」として「(1)物質の一時的使用」という項目の記載が表示されています。
4番目に記載されている「使い捨て」をクリックすると、「高価で複雑な対象物を安価で単純(使い捨て可能)な物質に置き換え、望まれる特性(寿命など)を不要にしてください。」
という解説と、「使い捨て」に関連した「(1)一時的な路面」という過去の具体的事例を参照することができます。
I-TRIZの基本ソフトウェアであるIWBはどのような問題にも適用できるように、問題の状況を詳細に分析する精緻な「システムアプローチ」と、約500種類にも及ぶ精緻な「オペレータ・システム」の他に、「不具合の予測と予防」や「進化のパターン/ラインの適用」といったプロセスが組み込まれていますので、全プロセスを実施するとなるとそれらのツールの使用方法を習得するための時間(10~20時間)を要するため、初めての人はその使用をためらうことになります。
そこで、「使い捨て」のオペレータを参考にすると、「まずは、簡易版のシステムアプローチと簡易版のオペレータを組み込んだIBS(Ideation Brainstorming)というソフトウェアと、因果関係ダイヤグラムを作成することで取り組むべき課題を発見するためのプロブレム・フォーミュレータ(Problem Formulator)というソフトウェアを使用して、技術者個人の通常の技術開発業務を効率的に処理することを経験するとよいでしょう。」という提案ができます。
IBS(Ideation Brainstorming)とプロブレム・フォーミュレータ(Problem Formulator)は個人的使用に特化した手軽なソフトウェアですので、それぞれは1日(6時間)の学習で使えるようになります。
最初は、手軽なIBS(Ideation Brainstorming)とプロブレム・フォーミュレータ(Problem Formulator)を使ってI-TRIZの思考プロセスに慣れることを優先されるとよいでしょう。
その後、IWBに組み込まれている体系的な思考プロセスを習得して、本格的なプロジェクトのテーマにIWBを適用することで、I-TRIZ本来の威力を体験されるとよいでしょう。