NPO法人日本TRIZ協会が主催するTRIZシンポジウムが今年で第9回目(開催日:9月5日、6日、開催場所:統計数理研究所)になります。
そのプログラムを見ると、TRIZとQFD(品質機能展開)、TM(タグチメソッド)、AHP(階層化意思決定法)といった他の管理手法と組み合わせて使うことが有効であるという発表が多いことがわかります。
このことは、裏を返せばTRIZはそれ自体では企業活動の一部にしか使えないことを裏付けているかのように見えます。
その一方で、今年のTRIZシンポジウムの特徴的な点は、知的財産マネージメントの分野にTRIZを活用した事例発表が多いことです。
ところで、I-TRIZは、技術的問題解決に特化した古典的TRIZの複雑さと使いにくさを改め、非技術的問題へも使用できる適用範囲の広い方法論を提供するものです。
技術的問題、非技術的問題のいずれも、その問題解決プロセスには、(1)問題の分析、(2)解決策の提案、(3)状況分析(解決策を適用した場合の影響分析)、(4)解決策の価値評価という要素が必要になります。
また、新しい商品・サービスを提供する企業にとっては、(1)企画、(2)開発、(3)設計、(4)生産、制作、(5)販売、(6)知的財産管理、といったモノ、コトづくりのプロセスが必要になります。
I-TRIZは問題解決プロセスおよびモノ、コトづくりプロセスの両者に必要な条件を満足する体系的な方法論として完成されたものです。
I-TRIZでは、企画段階においてはシステム(商品・サービス)の外部環境である上位システムの将来を予測するとともに、そのシステムを駆動するための下位システムを整える次世代のコンセプトを開発するための戦略的世代進化(DE:Directed Evolution)を適用します。
開発段階においては、問題を多観点で分析し問題の全体像を把握した上で内部環境の資源を勘案した戦略のもと、問題発生メカニズムを解明する不具合分析(FA:Failure Analysis)を適用し、問題の原因を排除するために先人の知恵をヒントにした解決コンセプトを立案すべく発明的問題解決(IPS:Inventive Problem Solving)を適用します。
設計段階においては、上市する商品・サービスの未来品質を保証する具体的な構成を考えるために不具合予測(FP:Failure Prediction)と発明的問題解決(IPS)を適用します。
生産、制作段階においては、その過程で生じる品質やコストの問題を解決するために、不具合分析(FA:Failure Analysis)と発明的問題解決(IPS)を適用します。
販売段階においては、商品・サービスに関する顧客の不満足を満足に変えるために、不具合分析(FA)と発明的問題解決(IPS)を適用します。
知的財産管理段階においては、上市する商品・サービスの実施を保証するための他社特許の回避、競合他社からの模倣を排除するための発明の強化、知的財産の有効活用をするための発明の評価、といったことを目的とする知的財産制御(CIP:Control of Intellectual Property)を適用します。
I-TRIZは、他の手法に頼らずとも問題解決プロセスおよびモノ、コトづくりプロセスの各段階に最適な独自の新たなTRIZの方法論(DE,IPS,FA,FP,CIP)が使えるようになっています。
TRIZを基礎とした進化したTRIZがI-TRIZということです。
TRIZが使えないという前に、TRIZの基本理論に支えられたI-TRIZの進化した新たな方法論を活用してみてください。
その使いやすさとその威力に驚くこと間違いありません。
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