I-TRIZは「論理的に思考し、かつ自由に発想する」仕組みを備えた方法論であるといえます。
I-TRIZの基本的な思考プロセスのうち論理的に思考する部分は、(1)システム階層(上位システム→システム→下位システム)、機能(入力→機能→出力)、問題(原因→問題→結果)、時間(過去→現在→未来)といった多くの観点で問題状況を分析する「システムアプローチ」と、(2)分析結果を因果関係ダイヤグラムで表現する「プロブレム・フォーミュレーション」です。
論理的な思考から自由な発想に移るアイデア発想の段階では、「プロブレム・フォーミュレーション」で作った因果関係ダイヤグラムから問題解決のための課題を指し示す問題文(指針)が得られます。
自由に発想する部分では、各指針に対応したシステムの変更案(アイデア)考える際に、先人の知恵を体系的に整理した知識データベースの中から的確な推奨文(ヒント)得られる「オペレータ・システム」を使います。
また、自由に発想する部分では、「オペレータ・システム」で提示される複数の推奨文を切り換えながらアイデア発想を促す「アイディエーション・ブレーンストーミング」を行います。
一般に、創出されたアイデアのうちのどれかが直接発明的問題の解決に役立つことはほとんどありません。
発明的問題のような複雑な問題の場合には、問題の様々な側面にそれぞれ対処する複数のアイデアを組み合わせることが必要になります。つまり、私たちが求める解決策とは、複数のアイデアを組み合わせたものになります。
複数のアイデアを組み合わせるには、「既存システムの組合せ」や「複合システム・多重システムの構築」というオペレータを使うことができます。
複数のアイデアを組み合わせるには、事前に創出されたアイデアを同一の機能に関連するアイデアのグループや同一の装置、部品、要素に関するアイデアのグループに分類をすることが必要になります。
複数のアイデアの分類ができたならば、「同一機能のシステムの組合せ」、「反対機能のシステムの組合せ」、「同種の構成要素をシステムに合成する」といったより具体的なオペレータを使うことができます。
ほとんどの解決策は二次的問題(解決策を適用することにより発生すると考えられる新たな問題)をかかえています。解決策を実行するには、この二次的問題を解決しなければなりません。
二次的問題を解決するには、当初の問題解決と同じ手順を辿ればいいのです。二次的な問題の解決は、多くの場合、当初の問題を解決するよりも容易です。
二次的問題の内容が具体的な場合には、「標準問題」というオペレータを使うことで、比較的簡単に解決できる場合があります。
複数のアイデアを組み合わせる場合や二次的問題を解決する場合には、各種のオペレータを使って自由に発想することの他に、創出された解決策を評価するための論理的な思考が必要になります。