«

»

5月 29 2017

Ideation TRIZをものにする創造的思考の基礎

Ideation TRIZの弊社の体験セミナーなどに参加して初めてIdeation TRIZを学んだ方の中には、オペレータというヒント集を使用した「類比思考」が難しいという意見を持たれていることが、アンケートの結果からわかっています。

 

古典的TRIZの発明原理、分離の原則、発明標準解、進化の法則、工学的効果集などの複数の解決テクニックを統合した「オペレータ」というヒント集の体系を作り上げることで、初心者でもTRIZの強力な問題解決力を使いこなせるようにしたのがIdeation TRIZです。

 

しかし、使い易いはずのIdeation TRIZにも壁があったということです。

 

私たちは、過去の知識経験に加えて、特許公報や技術論文などで公開されている新しい技術知識を使って、論理的思考により問題解決を行うといった一般的な方法(帰納法、演繹法)を採用しています。このような一般的な方法でほとんどの問題が効率的に解決することになりますが、中にはこのような方法では歯が立たない問題もあります。

 

徹底的に論理的思考を行ったにもかかわらず目的とする解が得られないなら、残る方法はイメージ思考(仮説設定法)によるしかありません。創造技法の分野では、積極的にイメージ思考を使うことを「類比思考」といいます。

 

Ideation TRIZに限らず、創造的な問題解決が必要な場面では、自分の問題と本質が共通な異分野の見本(アナロジー)を参考にして、イメージ思考で解決策を手に入れることが必要になります。

 

知らないものは、知っているものに見立てて理解するしかありません。それには豊かな想像力が必要とされます。

 

創造的思考が苦手な方を、頭が固い、固定観念にとらわれている、などといいます。

 

TRIZでは、慣れ親しんだ方向の考察を熱心に行いながら、他の技術分野の観点からの検討をないがしろにする傾向を「心理的惰性」と呼びます。心理的惰性は矛盾を含んでいる発明的問題に取り組む時間を大きく浪費させ、作業に深刻な悪影響を与えます。

 

解決策が自分の専門分野の中にある場合には必要な試行の数は比較的少ないかもしれません。しかし、そうでない場合には試行錯誤を通じて解決策にたどり着くのは容易ではありません。

 

類比思考で一番難しいのは、役立つ見本をどこからどのようにして見つけてくるかということです。

 

コンピュータの助けを借りないのであれば、見本は、自分の得意分野、趣味の世界などの自分がよく知っている分野から探します。また、日常的な出来事から探します。それは、その見本に詳しいから自分の問題解決に役立てられるという前提に立っています。

 

その他には、見本は、自然界から探します。自然界にはうそがないからです。

 

コンピュータを使うのであれば、インターネット検索(異分野の特許情報を含む)で分野を特定せずに、問題解決の目的に関する「~する」といった動詞形のキーワードや、「速い」「ゆっくり」といった形容詞、副詞などの価値観に関するキーワードで、共通の目的や価値観を持った見本を探します。

 

見本が見つかったら、見本の構造とその本質を参考にすることで、課題を抱えたシステムの目的や価値観を、どんな構造やメカニズム、やり方で実現するか考えます。

 

Ideation TRIZのオペレータを使えば、あらゆる技術分野の具体的な見本および見本から抽出した問題の類型ごとの解決ヒントが約500件用意されていますので、その都度見本を探しに行かなくてもいいことになります。

 

Ideation TRIZのオペレータは発想のヒントを一般的な表現で提供しますので、オペレータを使用するためには次のような手順で類比思考を行います。

 

ステップ1:

オペレータが推奨する考え方を読みます。オペレータに付随する解説を参考にして、オペレータの狙いを理解できたか確認します。次に、(1)オペレータの考え方、(2)対象としている状況(システム)、の二つを同時に頭の中に描きます。

 

ステップ2:

頭の中でオペレータの推奨する考え方をシステムに適用してイメージしてみます。オペレータの考え方でシステムを強制的に変化させるとどのようになるか、結びつけてみます。イメージがわかない場合は、別の推奨内容を試み、次々と検討していきます。

 

ステップ3:

アイデアが浮かんだら必ず記録を残します。バカバカしいと思うようなアイデアや、無理かもしれないアイデアも記録します。こうした記録が後で役に立つのです。

 

ステップ4:

オペレータを読んでもアイデアが浮かばないときには、オペレータで推奨している内容をそのまま記載します。

 

たとえば、「並列処理」というオペレータでは、「同時に並行して実行できる複数の処理に、プロセスを分割することを検討してください。」という推奨文(解説文)が記載されていますので、アイデアとして「~(利用できる資源)を同時に並行して実行できる複数の処理に、プロセスを分割する」と未完成な状態のまま記録します。

 

そして、アイデアを見直す「方策案のまとめ」の段階で再検討し、この未完成なアイデアの「~」の部分に利用できる資源の具体的な名称を記入してアイデアを完成させます。