I-TRIZには、製品や工程などの技術システムについて、可能性として結びつくすべての危険、または有害な事象を事前に明確にし、それらを回避するための不具合予測(FP:Failure Prediction)という手法があります。
不具合予測(FP)のプロセスの特徴は、潜在的な不具合を推測する代わりに、問題を能動的な課題へと「逆転」させるところにあります。 不具合予測(FP)では、分析問題を発明問題に変化すために、「どうしたら、不具合が起こせますか?」という質問をします。 システムの機能の焦点、つまり、システムにおいて要点となる(弱いまたは危険な)機能/作用/状態(通常複数)を選択します。
これを行なうには、対象システムの中の弱いゾーンと危険なゾーン(いずれも複数)をすべて選び出します。 次に、選び出されたそれぞれのゾーンに関して、(1)そのゾーンの”弱さ”の原因となっている有益機能/動作と、(2)そのゾーンを危険なものとしている有害機能を抽出し、これらの有益機能と有害機能とを因果関係で結合したダイヤグラム(IWBのプロブレム・フォーミュレータで描くものと同様のもの)を作成します。
作成した因果関係ダイヤグラムの中で、より多くのリンク(機能を結合する矢線)が出たり、入ったりしている所が不具合の「焦点」となります。 その「焦点」について、関係づけることのできるすべての不具合を予測し、その不具合を取り除いてしまえば、このシステムは実際上安全と見なすことができます。
そして、予測した不具合を実現するのに必要な資源が、現行のシステムの中にあることが確認できれば、その不具合は発生すると考えて間違いない(仮説が検証された)ことになります。 以上のような手順(不具合予測)によって見つけた潜在的不具合は、誰も気がついていない新しい研究開発テーマであるといえます。