システムが進化する過程では性能を向上させ、あるいは、不都合な現象を回避する目的でシステムの諸要素、諸特性相互を対応させるおよび/または対応しないようにさせるということが何度も繰り返されます。
このプロセスは、様々な要素が選択され組み合わされて新しいシステムが社会に登場する最初の段階から始まります。各要素はシステムが機能するために必要最低限以上の性能を持っているだけでなく、相互の間に適合性がなくてはなりません。
システム全体の性能にとって要素間の相互適合性は極めて重要です。組み合わせる要素を選択する観点からすれば要素単独で最高の性能を持っているものがシステムにとって常に最善とはいえません。
システムの構造、素材、機能(作用・動作)、特性の観点での対応/非対応の関係が存在します。
システムの進化の当初の段階では、それまで一緒に使われたことのない下位システム(装置・部品・素材など)が組み合わされてシステムとなることがあります。次に、下位システム相互の間の適合性を改善するために様々な調整が行われます。
システムに新しい特性を与えたり、困った作用を避けるためにシステムの諸要素が相互に対応しないようになっている場合はよくあります。
多くのシステムは(常に)変化する条件の中で稼動します。その場合、条件の変化に即応できるようにシステム自身が状態を変化させるようにすることがあります。
「要素間の対応と非対応」の進化のラインでは、①相互に対応していない要素間に対応関係が生じる。→②意図的な非対応のあるシステムとする。→③動的な対応/非対応を採用する、のように進みます。
「要素間の対応と非対応」の進化のラインの例には、①初めて自動車が作られたときには、馬車の車体にエンジンやその他の諸要素が取り付けられました。その後、こうして登場した新しい用途にあわせて個々の要素が改良されてゆきました。→②方向を変えたあとすぐに前輪が車体のまっすぐ前を向くようにするため、自動車の2つの前輪は完全に平行ではないように取り付けられています。→③飛行速度に対応させて主翼の形状を変化させる飛行機があります、などが挙げられます。