有望な発明の課題や開発の課題を発見する

発明の課題や開発の課題はどのようにして決めていますか。
顧客から直接または営業を通じて入ってくる顧客のニーズ(いわゆる顧客の声:VOC)によって決めているということでしょうか。
そのニーズは、将来のニーズですか?それとも今現在のニーズですか? 今現在のニーズということであれば、そのニーズに従った発明の課題や開発の課題に取り組みのは危険です。
一般的には、出願してから特許が取得できるまでには数年かかります。特許が取れた頃にはそのニーズは過去のものということになりかねません。開発から商品化までには数年はかかるでしょうから開発の課題についても同様です。
その結果、知財の出願計画が休眠特許の増産計画になってしまいます。開発計画が実施化中止計画になってしまい兼ねません。 発明の課題や開発の課題は、将来の顧客ニーズを捉えたものでなくてはなりません。
そのためには、単に今現在の顧客ニーズに従うということではなく、自社の市場がどちらの方向に向かっているのかという未来予測がなされなければなりません。 また、課題は特定の顧客ニーズだけに従うことでは、他の顧客ニーズを無視することになりますので、取得した特許権が競争優位な立場を築くために役立つことはないでしょう。
特に、発明の課題は、将来の顧客ニーズを睨んだ上で網羅的に検討しなければなりません。その上で、自社の強み弱みを考慮して自社が取得すべき特許や他社牽制出願に対応する発明の課題を決定しなければなりません。 当該技術分野の技術動向を知るための特許調査が必要であり、さらに、顧客ニーズの未来予測も必要になります。
顧客ニーズの未来予測は、技術システムの進化と社会システムの進化の両者を勘案した内容であるべきです。 I-TRIZには、技術システムの進化と社会システムの進化を予測するために必要な知識と未来予測のための思考手順が組み込まれた「DE:戦略的世代進化」という手法が用意されており、有望な発明の課題や開発の課題を発見する場合に、有効に使用できます。