特定的な進化のライン

米国のアイディエーション・インターナショナル社が制作したDirected Evolutionソフトウェアでは、「特定的な進化のライン」には、(1)消費財の進化、(2)システムの歴史における市場の変化、(3)計測システムの進化、(4)情報資源の利用、(5)道具の進化、(6)道具に対する被処理物のマッチング、(7)製造プロセスの簡素化、(8)運搬と処理のリズムのマッチング、が記載されています。

 

「システムの歴史における市場の変化」の進化のラインでは、①ほぼ偶然的な市場の始まり→②いくつかの異なる市場の発生(ほぼ最初といえる市場)→②´当システムの特別な才能と有望な適用分野の露呈→③当システムに最適な市場の形成、または→④いくつかのニッチ市場への積極的な展開(④a.他の市場への浸透、④b.市場の特別なセクターへの分裂)→⑤市場展開の安定化(市場が自然に拡大していく)、といったラインに従います。

 

「計測システムの進化」の進化のラインでは、①良好な認識可能な場を持つ物質の導入(磁石、着色剤、発光剤、強い臭気剤、など)→②既存の場を変更する、既存の場を別の場へ変換する、または別の場を生成することができる特別な物質の導入(歪ゲージ変換器、バイメタル、感熱塗料、液晶、熱電対、発光材剤、感光剤、色変化物質、など)、といったラインに従います。

 

「情報資源の利用」では、システムが進化する際に使用されるシステムに関する付加的な情報資源のとして以下のような種類が挙げられています。
(1)現在の情報資源
① 物質の特性
② 物質の可変的な特性
③ 消散するエネルギー場(振動、音、光、熱、電磁放射など)
④ システムからの物質又はエネルギー場の流れ
⑤ システムに吸収される物質又はエネルギー場の流れ
⑥ システムを通過する物質又はエネルギー場の流れ
⑦ 当システムが他のシステムに与える変化
⑧ 他のシステムからの影響
(2)過去の情報資源
① システムの過去の進化や変化の情報
② ある出来事(市場変化、新技術、新規制など)に対するシステムの反応の情報
③ 当システム又はシステムのクラスと関係のある既知の進化のパターンやトレンド
(3)一般的な情報資源
① 一般的な科学知識
② 当システム、サブシステム、スーパーシステム、機能、用途などと関連のある特
許及び科学的な出版物
③ 物理、化学、幾何学、生物学などの分野の効果
(4)他システムの情報資源
① 他システム(類似システム、反対機能のシステム、当システムと相互作用するシ
ステムなど)の機能 及び/又は進化の情報
② 当システムの機能及び/又は進化を明らかにする物理的、論理的、数学的などの
モデル

 

「道具の進化」の進化のラインでは、①1つの特定機能を果たすための道具を作る→②道具を改良して、機能を果たす性能を高める→③道具が、その主要機能を改良する補助機能を持ち始める→④道具の新機能が発明される→⑤道具の汎用化:その機能バリエーションの拡大→⑤´道具の専門化:その機能範囲の絞り込みと性能の質と効果の向上、といったラインに従います。

 

「道具の進化」の進化のラインの例には、①ドリルビット→②超硬チップを持つドリルビット→③バリ取りカラーを持つドリルビット→④冷却液が流れる孔を持つドリルビット→⑤いろいろな径の穴が明けられる径可変ドリル→⑤´ガンドリル加工(深穴加工)用のドリル、などが挙げられます。

 

「道具に対する被処理物のマッチング」の進化のラインでは、①既存の道具によく適応した物質(被処理物)を使う(①a.処理性能を決めるパラメータ(硬さ、温度、化学組成など)について、被処理物と道具の間のマッチングを変更する、①b.エネルギー場で制御できる物質を使う、①c.臨界状態、相移転などが起きやすい物質を使う)→②道具を事前に調整して、道具によく順応した状態にする→③トリガー的効果、エネルギーの蓄積と開放などの非線形特性を持つ「スマート物質」を使う、といったラインに従います。

 

「道具に対する被処理物のマッチング」の進化のラインの例には、①a.鋼の種類を様々な機械切削加工にマッチさせる、すなわち、様々な回転切削加工にビスマス快削鋼を用いる、①b.機械加工時の部品保持のための電磁チャック、①c.感光材料:オーテスナイトからマルテンサイトへの遷移中に金属が通常より大きく展延可能になる超可塑状態がある→②ゴムやウレタンを加工前に凍らせる(金属やプラスチックをプレス前に加熱する)→③形状記憶合金、爆発物、キャパシター、ゴムなど、などが挙げられます。

 

「製造プロセスの簡素化」の進化のラインでは、①補助的作業の除去(準備、修正など)→②主要作業の数量の削減→③並行作業の利用、といったラインに従います。

 

「製造プロセスの簡素化」の進化のラインの例には、①かんばん方式で在庫を減らす→②切削、穴あけなどを別個に行う代わりに、プレス加工を行う→③セル生産方式の作業員が一人で数台の機械を並行して動かす、などが挙げられます。

 

「運搬と処理のリズムのマッチング」の進化のラインでは、①運搬と処理動作が適合してない→②速度のマッチングにより、運搬と処理動作が適合している→③速度をマッチングさせることで、運搬と処理動作が適合している、といったラインに従います。

 

「運搬と処理のリズムのマッチング」の進化のラインの例には、①部品がコンテナで処理機械へ運び込まれる(バッチ搬送)→②部品の流れ制御の下で処理機械へ運び込まれる→③処理作業が部品の動きに連動する、などが挙げられます。