知恵の生産技術を身に着ける

今企業が一番必要としているものは知恵です。

今のような変化の激しい時代は、自分で知恵を出し、自信を持って提案できる人や企業だけが生き残れます。

相手の心の中に「変わった考えだけど、面白いかもしれない。」という感覚を引き起こせるかどうかによります。人が商品を買うのは、その商品の知恵の部分に感心して買うのです。

変化とは、消費者が商品なりイベントにすぐ飽きて次々と新しいものに興味を持つことです。

それは無意識がそれはもう飽きた。こっちのほうが楽しそう、と決めるのです。変化が早いということは、無意識が主導権を握っている時代ということです。

消費者に「こういう楽しい企画を考えましたので、ぜひ試してみてください」という「知恵のメッセージ」(あるべき姿、理想像)を出し続けなければなりません。

企業は単に「知恵を出せ」と押しつけるだけではなく、社員に知恵の出し方を教育する必要があります。社員に知恵の生産技術を教えなくてはなりません。

知恵の元は誰でも持っています。それは「いのち」です。そのため、知恵の生産は、身体、特に脳を使う作業なので、若干の練習が必要です。

NM法を創案した中山正和氏は「知恵とは、自然というシステムに組み込まれた変化のプログラム。知恵とは、言葉でなく体で考えること。自然の知恵なのだからそれは『自動的』なのである。問題は言葉で(知識で)考えたら解けるといものではない。あるときあることに『ハッと気づく』ということがないとだめなのだ。」といいます。

創造性に関する本を読んだり、創造性に関する話を聞いても、知恵は出ません。知恵は、自分の頭から生み出すものだから、自分の脳を使う肉体的作業によらなければなりません。

知恵を出すにはコツがあります。自分の身の回りや世の中の出来事で、何か「変化」が発生したら、すぐその変化の「本質」は何だろうと考える習慣を身につけておくことです。

あれこれと考えるタネがなくなっても考えつづけていると、「あるとき」「あること」に「ハッと気づく」のです。「あること」というのは、「こういうふうに考えたらどうか?」というので、これが問題の解決の「ヒント」とか「アイデア」というものです。

「ヒント」はまだ役立つかどうかわからないくらいのもので、「アイデア」というときにはもう確かに問題解決に役立つような形をとる場合です。

ブレーンストーミングを行う上で重要なことは、このような「ヒント」を捨てずに記録することです。その「ヒント」が「アイデア」の基になります。

問題解決のヒントを着想といい、こういうヒントがいくつか集まって、だんだんある一つの論理的な裏づけを持ったものを形作って行くことを発想といいます。

問題解決のヒントは、自分で考えついたものに限らず、他人から与えられたものでも、本から得たものでもよい。

TRIZは先人の知恵を集めたヒント集を作っている。一般に知られているのが「40の発明原理」です。

I-TRIZではそのヒントを約500種類集めて、必要なときに必要なものが取り出せるように体系的に整理している。これを「オペレータ」と呼んでいます。

オペレータには、40の発明原理だけではなく、TRIZでいう「分離の原則」、「標準解」、「進化のパターン/ライン」、「効果集」の他、アイディエーション・インターナショナル社が独自に決めた解決パターンが含まれています。

ただし、先人の知恵は知識ですので、自分なりにその本質を突き止めてから使用することが必要です。

頭に浮かんだものが知恵かどうかを判定するには、それで感動する喜びがあったかどうか?を確認すればよい。

自分の出したアイデアに感動する喜びがなければ、その考え方は既にどこかであなたは知っていたということです。新しく生まれてきた知恵は、必ず感動する喜びを伴います。

だから、個人や企業が成功するためには感動する喜びを求めつづけなければなりません。感動する喜びの方向にしか、個人や企業の成功はありません。