視点を変える発想のツールとして、オズボーンのチェクリスト(①転用したら?、②応用したら?、③変更したら?、④拡大したら?、⑤縮小したら?、⑥代用したら?、⑦再利用したら?、⑧逆転したら?、⑨結合したら?)が広く知られています。
オズボーンのチェクリストから派生したものに、「SCAMPER(スキャンパー)」というチェックリストがあります。
SCAMPERは、以下のような7つの質問の頭文字から名付けられた強制発想のためのツールです。
(1)Substitute(入れ替えたら?)
(2)Combine(統合したら?)
(3)Adapt(応用したら?)
(4)Modify(修正したら?)
(5)Put to other uses(使い道を変えたら?)
(6)Eliminate(取り除いたら?)
(7)Rearrange/Reverse(並び替えたら?/逆にしたら?)
オズボーンのチェクリストもSCAMPERリストも、1件ずつ見ていくだけで違う視点から物事を考えることができます。
SCAMPERよりもシンプルなものとして、「加減乗除(四則演算)」の発想法があります。
足し算をしてみたら?、引き算をしてみたら?、掛け算をしてみたら?、割り算をしてみたら?、というものです。
加減乗除(四則演算)は視点が4つだけであるため、一見簡単そうに思えますが、それだけ項目の概念の抽象度が高いということです。
そのため、加減乗除(四則演算)を実務に適用する場合には、それらの視点の本質をよく理解してから使用するとよいでしょう。
問題解決は問題の分析から始まりますので、最初に割り算を適用します。「わからないことは分けろ」というとおり、問題を細かな要素に分解・分割するという意味です。
問題解決の目的が現状の改善、改良の場合には、割り算で分解した各要素について足し算、引き算を検討します。
足し算では、有益機能を増やすことで価値を高めることができる方法はないか?と考えます。引き算では、有害機能を減らすことで価値を高めることができる方法はないか?と考えます。
あるべき姿を追求する場合には、理想的な解決策を見つけようとしますので、現状の改善、改良とは違い、より高度な発想が求められます。
いろいろな構成要素同士またはそれらの構成要素に関する知識を組み合わせるという掛け算の発想が必要になります。
ただし、問題の対象になっているシステム内にある要素については同業者もよく知っているので、単にそれらの知識を組み合わせても画期的なアイデアを得ることは難しいところです。
画期的なアイデアとは、自分たちが知っている分野の知識だけではなかなか生まれてこないものです。
そのため、等価変換理論、NM法、シネクティクス、TRIZという発明的問題の解決に有効な技法では、いずれも自然界の知識や異なる技術分野の知識を組み合わせることを推奨しています。
ちなみに、TRIZの簡易技法であるSIT(Structured Inventive Thinking:体系的創造思考法)では、加減乗除(四則演算)を基本とした発想法を採用しています。
アイディエーション・インターナショナル社のヴァレリー・プルシンスキーは、TRIZと生物進化の考え方を結合して、構成要素や構成要素に関する知識の組み合わせを加減乗除(四則演算)に沿って説明した「ハイブリッド化」という手法を提唱しています。