思い込み、先入観、固定概念を壊す方法(その3)

前回、思い込み、先入観、固定概念を壊す方法として、「Good-Badゲーム」という方法を紹介しました。

今回は、「問題の逆転」を紹介します。

問題の逆転」では、以下のようなことを考えます。

作用を反対作用に取り替えてください。たとえば、加熱する代わりに、冷却してみてください。あるいは、操作の順序を逆にして後の操作を先にしてみたらどうなるか考えてみてください。

可動部分と静止部分とを逆にしてみてください、あるいは、動きのタイプを往復運動から回転運動あるいは揺動運動に、または、その逆にしてみてください。

物体、システム、プロセスの内側と外側とを裏返しにしたり、上下をひっくり返してみてください。あるいは、内側の作用を外側での作用に、外側の作用を内側での作用に逆にすることを考えてください。

これらは、現在起きている事象を逆転させることで、思い込み、先入観、固定概念を壊して、新しい発想を得ることを目的としています。

逆転といえば、I-TRIZ(Ideation TRIZ)の不具合分析(FA:Failure Analysis)と不具合予測(FP:Failure Prediction)です。

不具合分析(FA)では、製品や工程などの技術システムに生じる不具合やその他の問題の原因を「推測」するのでなく、問題を能動的な課題へと「逆転」させます。

不具合予測(FP)では、潜在的な不具合を「推測」する代わりに、問題を能動的な課題へと「逆転」させます。

いずれも、不具合を「作り出す」方法を見つけることをします。

不具合を一般的な現象に読み替え、その現象を意図的に生じさせる方法を探すことによって、不具合のメカニズムを想定するのです。

想定された方法に関与する、すべての要素がシステムまたはその近くの環境の中に存在していなければなりません。

つまり、不具合を引き起こすには、そのために必要な「資源」が存在しなければならないのです。そこで、次にそのような資源が存在するかどうかを判定し、すべて存在するということが確認できれば、想定した不具合のメカニズムが正しいと考えるわけです。

不具合分析(FA)や不具合予測(FP)が、不具合やその他の問題の原因を「推測」するのでなく、問題を能動的な課題へと「逆転」させる理由は、「不具合を発明する」問題に切り替えるためです。

不具合は起きて欲しくないことであるため、起きた不具合についての情報を隠そうとします。そのため、不具合を取り扱う分野には、不具合のメカニズムを解明する情報が少ないといえます。

これに対して、発明はどんどん生み出そうとしますし、生み出された発明の多くは公開されます(特許出願された発明は、一定期間経過後に公開されることが法律で規定されています)。そのため、発明を取り扱う分野には、発明のメカニズムを解明する情報が多いといえます。

そこで、不具合やその他の問題の原因を「推測」するのでなく、問題を能動的な課題へと「逆転」させて、情報量で圧倒的に有利な発明のメカニズムを使って「不具合を発明する」ことを考える方法を採用しています。

その効果は絶大です。従来の不具合分析法や不具合予測法で歯が立たなかった問題について、是非、不具合分析(FA)や不具合予測(FP)の逆転の発想を採用してみてください。