PF(Problem Formulator)の使い勝手

I-TRIZ(Ideation-TRIZ)には、

(1)問題状況を多方面から把握し、課題(方向性)を見出す「システム・アプローチ」
(2)問題解決に利用できる資源を徹底的に洗い出す「資源把握」
(3)問題状況の機能構造を可視化し、問題(タスク)を漏れなく見つけ出す「プロブレム・フォーミュレータ」
(4)既知の類似問題の解法を与え、新しいアイデアの創出を助ける「オペレータ」
という4つの特徴的なツールがあります。

ここでいう、「プロブレム・フォーミュレータ」というものが、前回ご紹介しましたPF(Problem Formulator)のことです。

4つのツールは、
(1)問題状況の把握
(2)課題定義
(3)タスクの生成と選択
(4)アイデア創出
(5)コンセプト構築
(6)評価
(7)創造的解決策

といった問題解決のプロセスを実行する上で強力な威力を発揮するものであって、互いに密接な関係にあります。

「システム・アプローチ」では、
(1)上位システム→システム→下位システム
(2)過去→現在→未来
(3)入力→機能→出力
(4)原因→問題→結果

という4つの観点で問題状況を把握しますが、それはアイデア創出するための対象である資源を見つけ出すための「資源把握」をするための作業であるともいえます。

また、「システム・アプローチ」を行うことにより、「プロブレム・フォーミュレータ(PF)」で問題の状況を可視化できることになります。

問題の状況は、そこで起きている現象を原因と結果という因果関係で連鎖したダイヤグラムとして表されます。 これは、「システム・アプローチ」の原因→問題→結果という観点で問題の状況を表現したことになります。

「プロブレム・フォーミュレータ(PF)」で問題の状況を可視化すると、ソフトウェアがそのロジックを読み取って、自動的にやるべき「タスク」を生成します。問題解決者は、ソフトウェアが生成した「タスク」の中から適当と思われるものを選択して、アイデア創出を試みることになります。

選択した「タスク」の文章をクリックすると、ソフトウェアに組み込まれている「オペレータ」が、その「タスク」の問題解決に最も相応しい既知の類似問題の解法を提示します。問題解決者は、その類似問題の解法を参考にして類比発想を行うことで、複数の新しいアイデアの創出をします。

創出された複数のアイデアから、効果的と思われる解決コンセプトを作り出します。 この解決コンセプトの構築段階では、複数のアイデアを目的と手段という目的・手段関係の連鎖からなるダイヤグラムとして表現します。

このダイヤグラムは、「プロブレム・フォーミュレータ(PF)」を使って作成します。 これは、「システム・アプローチ」の入力(手段)→機能→出力(目的)という観点に対応した思考方法を採用したことになります。

以上のように、「プロブレム・フォーミュレータ(PF)」は、「システム・アプローチ」の原因→問題→結果という観点で問題の状況を明らかにするダイヤグラムと、入力→機能→出力という観点で解決コンセプトを表現したダイヤグラムの両方を作成することに使用できるものです。

問題の状況と解決コンセプトの両方を可視化できる便利なツールです。