TRIZの使命と戦略的世代進化(DE)

TRIZが他の発明技法といわれるシネクティクス、等価変換理論、NM法などと違うのは、(1)イノベーションのための知識ベースを有していること、(2)システム進化の法則を活用した未来を制御する手法を有していること、の2点です。
私たちは、組織、会社、国が成功のために未来に備えたいと考えています。
アメリカの社会学者のアルヴィン・トフラーは1980年に「第三の波」という著書で発表した、情報化社会の波は、人類の運命を制御しようとする波です。
人類が自らの未来を制御するという波は、自分たち自身の進化やその環境の進化を制御するというものです。
誰もが自分の未来を支配する者になりたいと望んでいるし、あらゆる会社が将来の成功を保証することを必要としており、すべての国が成功、安定、安全を欲しています。未来を制御することは普遍的な必要性といえます。
技術の進化は、一方では、技術的な進展が人類のパワーを高めるので、自然や慣らされていない要素による危険性を減らしますが、他方では、人類自体の中での危険性を高めます。
技術が多くの知識や発明を蓄積すればするほど、新しい知識や発明の現れるペースが速くなります。制御されていない肯定的なフィードバックを伴うプロセスが、常にそのプロセスの存在するシステムを不安定にさせ、やがては、そのシステムの枯渇、悪化、または完全な崩壊をもたらすというのが一般的な認識です。
この危険な進化を止めようとするのは意味のないことです。長い歴史の中で進歩を止めることができた者などいません。進化は止めてはなりません。進化は制御し、方向づけるべきなのです。それが、I-TRIZの基本的な考えになっています。
TRIZは人類の歴史において進化の制御を可能にした最初の手段といえます。これは、I-TRIZの中の戦略的世代進化(DE:Directed Evolution)と名付けられたTRIZベースのアプローチを通して実現されます。