学校の試験問題は正解が予め決まっていて、知識があれば解けるようになっています。そのため、学校でよい成績を取るには、よく勉強して知識を高めておくことが必要になります。
しかし、社会に出てからぶつかる問題は、学校で勉強した知識では解決できないものであって、そもそも何が正解かがわからないものがほとんどです。また、誰も経験したこともないような個人的な悩み事も、知識だけでは解決できるものではありません。
つまり、社会に出たら、知識だけでは解けない問題を解かなければならない状況がたくさんあるにもかかわらず、私たちはこのような知識だけでは解けない問題を解く方法を学校で教えてもらっていないのです。
そのため、世の中には多くの情報が氾濫しているにもかかわらず、私たちは多くの悩みを抱えているという状況にあります。 知識だけで解けない問題を解くのにどうしたらいいのか。先輩や上司に相談すると、「知恵を出しなさい」と教えてくれます。
そこで、知恵の出し方を教えてもらおうとすると、「自分で体験するしかない」といわれます。 実は、先輩や上司も知恵の出し方を知らないのです。なぜなら、知恵は知識と違って、意識的に自分の頭から引き出せるものではないからです。
知恵とは、無意識な状態でひとりでに出てくるものであって、出そうと思っても出せるものではないのです。 発明を生み出す手法であるNM法を創案された中山正和氏によれば、意識的に出すことのできない知恵がいつ出るかというと、「好きなことをしているとき」か「ピンチになったとき」であるということです。
いずれも「そのことしか考えていない」状態にあることが条件になっています。つまり、知恵が出したかったら、その問題のことだけを考え続けることです。知恵が出ないのは、その問題のことだけを考え続けることができなくなる状況が生じていると考えられます。具体的には、気が散って、問題以外のことを考えている場合があげられます。
最も問題に集中できる環境とは、好きなことでピンチになることといえます。具体的には、「好きなことを仕事にし、明確な目標を設定して、時間的な制限を課す。」といったことが考えられます。
しかし、現実には、好きなこととはいえ、いやな問題を解決しなければならないこともあります。できれば、ピンチになって苦しむ前に問題を解決したいものです。