「考えるTRIZ」の教育とプロジェクト支援活動

「考えるTRIZ」とは、われわれの技術提携先であるアイディエーション・インターナショナル社(米国)が推進しているものであって、事前に準備されている質問に答える形で思考を前進させていくことで解決策を求めるようというものです。

 

「考えるTRIZ」であるIdeation TRIZでは、問題分析段階では最初に「問題状況質問票(ISQ:Innovation Situation Questionnaire)」の各項目に答えることで、問題に取り組む意義を確認し、問題が解決されたときの理想的な状態のイメージを明確にし、問題に関係するシステムおよびその周辺にある有望な資源を見つけ出します。

 

資源とは問題解決に使用できる「物質、エネルギー、空間、時間、情報、機能」のことですが、これは問題の状況をいろいろな観点で観察する「システムアプローチ」という手法によって入手します。

 

次に、「システムアプローチ」によって見つけ出した資源をもとに、問題の発生メカニズムを明らかにします。ここでは、問題を生じている事象の個々の機能(作用)を原因と結果の連鎖で表現した「因果関係モデル」を作成します。

 

次に、「因果関係モデル」から読み取れる問題の構造によって決定される課題(これを指針という)を実現するために、見つけ出した資源に先人の知恵のエッセンス(知識ベース)を適用することで問題解決を図ります。

 

Ideation TRIZでは、あらゆる資源の変更の仕方が体系づけられたチェックリストとして整理されているオペレータ(解決パターンのヒント集)を使用した類比思考を行います。

 

オペレータを使った類比思考を行う「オペレータ・システム」では、理想的な状態を実現するために、システムの理想性を向上するための3つの可能性を検討します。

 

「理想性=有益機能の総和/有害機能の総和」で定義されるシステムの「理想性」を向上させる方法には、(1)有益機能を改良する方法、(2)有害機能を排除、軽減、防止する方法、(3)一方で有益機能を供給し、他方で有害機能を排除することを行う方法、の3つが考えられます。そのため、ぞれぞれの方法に対応させて体系づけられた「オペレータ・システム」の指示に従って、それらを使い分けることになります。

 

Ideation TRIZでは、以上のような問題分析から問題解決に至る全工程(システムアプローチ、因果関係モデル、オペレータ・システム)を行うことで、問題を「自分でしっかりと考える」ことができるようになっています。

 

ところで、「考えるTRIZ」の難しいところは、検索エンジンでWeb上の情報を検索する場合と違って、問題解決者がIdeation TRIZの思考プロセスに沿って次々に出てくる質問について自分でしっかりと考えなければ、解決策が得られないということです。

 

そこで、われわれが行っているIdeation TRIZの思考プロセスの教育(セミナー、ワークショップ)では、「自分でしっかりと考える」ための方法論を教えています。

 

また、われわれが行っているIdeation TRIZのプロジェクト支援では、「自分でしっかりと考える」ための問題提起を行いますが、解答を押し付けるコンサルティング型介入はしません。あくまでも自発性を促すファシリテーション型介入です。