問題の種類によって異なるオペレータ・システム

I-TRIZでは、問題の種類に関係なく同じ思考プロセスをたどることで、問題の状況が因果関係のダイヤグラムで表現されるため、課題が明確になりその課題を実現するための方策を考えるためのヒントを入手できます。

研究者、技術者はそのヒントを参考にして思いついたアイデアを記録していくことで、従来の試行錯誤法による場合に比べて短時間で課題を実現するための網羅的な検討が可能となります。

このようなステップ・バイ・ステップによる思考プロセスで円滑なアイデア発想を可能にしているのが、アイディエーション・インターナショナル社が開発した「オペレータ・システム」です。

I-TRIZのオペレータは、I-TRIZのソフトウェアの種類ごとに別個のオペレータが用意されています。

(1)技術的問題を解決するために採用されるIPS(Inventive Problem Solving)ソフトウェア(ソフトウェアの名称はIWB(Innovation WorkBench®)という。)には、IPS専用のオペレータ・システムがあります。

(2)故障・不具合分析と再発防止のために採用されるFA(Failure Analysis)ソフトウェアには、FA専用のオペレータ・システムがあります。

(3)故障・不具合予測と予防対策のために採用されるFP(Failure Prediction)ソフトウェアには、FP専用のオペレータ・システムがあります。

(4)新規事業や新商品の企画のために採用されるDE(Directed Evolution)ソフトウェアには、DE専用のオペレータ・システムがあります。

(5)発明強化、特許回避、発明評価を行うため採用されるCIP(Control of Intellectual Property)ソフトウェアには、CIP専用のオペレータ・システムがあります。

研究・開発部門、生産技術・品質管理部門、企画部門、知的財産部門などは、それぞれ特有の性質を持った問題を抱えているため、その問題の性質に合わせて特別な別個のオペレータとその体系を持ったものになっています。

問題の性質に応じて、それぞれのオペレータ・システムを使い分けることが理想になります。

たとえば、故障・不具合に関する技術的問題の場合であれば、IPS専用のオペレータ・システムを使うのではなく、FAまたはFP専用のオペレータ・システムを使ってその問題のメカニズムを明らかにすることで、故障・不具合に関する問題解決が一層容易になります。