IWBの中のFP(不具合予測)の利用

前回はIWB(Innovation WorkBench)というソフトウェアの中に組み込まれているFA(不具合分析)というソフトウェアの簡易版について説明しました。
今回はIWB(Innovation WorkBench)というソフトウェアの中に組み込まれているFP(不具合予測)というソフトウェアの簡易版について説明します。
FP(不具合予測)というソフトウェアの簡易版は、Ⅰ.問題の情報把握→Ⅱ.プロブレムフォーミュレーションとブレーンストーミング→Ⅲ.方策案のまとめ→Ⅳ.結果の評価といった4つの大項目からなるアイディエーション・プロセスの中の、Ⅳ.結果の評価に含まれています。
なぜ「結果の評価」の段階にFP(不具合予測)があるかというと、当初の問題を完全に解決する完璧な解決案を考えついたと思っても、実行に移すと予期せぬ不具合が起こることがあるからです。
そこで、解決策を出した後で、その解決案の潜在的不具合を事前に予測し、予測した不具合の予防策を講じるためにFP(不具合予測)を使用することになります。
FP(不具合予測)の簡易版は、
(1)問題の逆転
(2)理想的シナリオの作成
(3)不具合シナリオの作成
(4)発見した不具合を予防する対策の検討
の4つのステップでできています。
(1)問題の逆転では、「気がつかないようなどんな不具合がおこるだろうか」と考える代わりに、「(解決策の内容)を実行に移した時に、生じる可能性のある好ましくない影響や不具合を全て引き起こさなければならない。」という定型表現を使用して、問題を逆転させて不具合を故意に引き起こす、あるいは、可能な不具合を「発明する」ことを試みます。
問題を逆転する理由は、前回説明したFA(不具合分析)の場合と同じですので、そちらの説明を参照してください。
(2)理想的シナリオの作成では、解決策が実現するまでの過程で起こるすべての事象と、システムが機能しているときに生じるすべての事象をリストアップします。
(3) 不具合シナリオの作成では、リストアップした事象を順に取り上げ、その事象に関連して引き
起こすことが可能な不具合のシナリオを作成します。
FP(不具合予測)では、以下のような不具合が発生する可能性の高い場所や条件のチェックリストが提供されていますので、これらを参考にして不具合のシナリオを作成するとよいでしょう。
【不具合予測のためのチェックリスト】
a.弱いゾーン・危険なゾーンで起こすことができる不具合を考えてください。
・流れが集中するゾーン
・強いエネルギーにさらされたゾーン
・矛盾をかかえたゾーン
・いわくつきのゾーン
・複数のシステムが連結されるゾーン
・複数の機能を持たされているゾーン
・工具とワークとが接触するゾーン
b.装置や物などに関連して予測される不具合を考えてください。
技術システムの不具合(すなわち、システムレベルにおける機能不全)
・装置の不具合
・構成要素の不具合
・材料の不具合
・自然物/自然システムに関連する不具合
c.方策を実現に移すそれぞれの段階で予想される有害な影響/作用を考えてください。
・機械的作用
・温度の影響
・化学作用
・電気作用
・磁気作用
・生物に関連する影響
・電磁波の作用
・情報の影響
・心理的な影響、感情の要因
d.潜在的に危険な瞬間/期間について考えてください。
・通常単調な操作/行程が不安定になる時期
・全体の緊張が高まる時
・新人や外部の訪問者が居る時
・個人の緊張が高まる時
・災害、事故、故障などの直後
・テスト期間など
(4)発見した不具合を予防する対策の検討については、IWBの問題解決の手順に沿って進めれることになります。