Ideation TRIZ超入門
(3) 結果は出る

The Results Come Out

(上村輝之)

日本ではどんな成果が出ているか?

さて、ここまではフルブライト博士の成功談を元にIdeation TRIZ(I-TRIZ)がどういうものなのかをご紹介しました。
では、日本では、Ideation TRIZ(I-TRIZ)で成果がでているでしょうか?

もちろん出ています!

そのほんの一部をご紹介したいと思います。
(秘密情報なので、具体的技術内容は隠してお話しします。)

事例 1 :「2か月で68個の発明を生み出した」

2013年、5人の開発技術者チームが、ある問題の解決に取り組みました。

その問題は、「次世代製品に組み込む予定の微細部品の新構造の開発に関するもの」で、「サイズの縮小と性能の向上が両立できない」というものでした。
すでに何か月か検討したのですが、良いアイデアがないと悩んでいました。

彼らはまずIdeation TRIZ(I-TRIZ)の2日間トレーニングを受け、それから問題に取りかかりました。
1回3時間のチーム検討会を一週間おきに7回行ないました。期間は約2か月です。

セミナー風景
チーム検討会では、問題解決用のアプリケーションIWB (=Innovation Workbench)の画面をプロジェクターで映して全員で見ながら、リーダーが音頭をとって、IWBの分析ツールやオペレータ (=膨大な特許の中から選び抜いた解説付き事例のようなものです。)を使って、着眼点をいろいろと変えつつ、ブレインストーミングを進めていきました。
チーム検討会のない日には、おそらく、一人一人が自分の頭の中でアイデアを考えたと思います。

7回の検討会が終わったとき、特許出願の候補となる発明(きちんとした解決策)が、なんと、68通りも生まれていました
68通りの有望発明
まだ解決策になっていない素材レベルのアイデアが68個ではないですよ(それなら数百個くらい出ました)。
素材レベルのアイデアを何個も組み合わせて統合して創り上げた解決策が、68通りです!
しかも、実現性があり、性能が期待でき、特許取得の可能性もある解決策です!

普通のやり方なら、68通りの有望な発明を考え出すには4~5年はかかります。
これをたった2か月(チーム検討会は21時間)でやり遂げたのです。すごいと思いませんか。

すべてのケースでこのように目覚ましい成果が出るわけではありません。
しかし、Ideation TRIZ(I-TRIZ)は従来のやり方に比較して、格段に高い能率で有望な発明を作り出せることは間違いありません。
そういうケースを私たちはたくさん目の当たりにしてきましたから。

事例 2 :「3時間で革新的アイデアを得た」

2010年、次世代のエネルギー装置を開発している中小メーカーの2人のチーフ技術者が、私たちアイディエーション・ジャパンの事務所を訪れました。

その2人が語った問題は厄介なものでした。
「その装置の内部で発生する金属微粒子が、装置の一番高価な部品(一億円くらい)に付着して傷めてしまう」のです。それに加えて、「米国の最強の大メーカーが、その問題を解決する基本発明の特許を取得していた」のです。

何としてでもその特許に抵触することなく革新的な技術を開発しないと、その中小メーカーはもはや生き残れないという状況下にありました。

彼らはすでに社内で3か月間、その特許とは違うやり方でその問題を解決する方法を検討してきました。
しかし、まったく良いアイデアが浮かびませんでした。
そこで、アイディエーション・ジャパンに相談してみることになったのです。

革新的アイデア
私は約2時間を使って、その2人に質問をしつつ、問題状況の資源分析と因果関係分析を行ないました。

その結果、一つの方向性が見つかりました。
それは、「重力の影響を制御する」というものでした。
その2人にとり、今までチラッと思ったことさえない予想外の方向性でした。米国メーカーの特許も重力制御には全く無関係でした。

その方向性で10分ほど検討したところ、私が「これだ!」と直感した一つの案が出ました。
それは「ある特性をもった強電場を形成して、重力の影響が実質的に無いのと同様の状態を作る」というものでした。
この案は、Ideation TRIZ(I-TRIZ)のアプリケーションIWBが「より制御性の高いエネルギーを用いることを検討しなさい」とアドバイスしてくれたときに、思いついたものでした。
必要な電場の強度とそれを実現する仕組みを考えてみたところ、十分に実現可能と思われました。

しかし、2人のチーフ技術者は暗い表情をしていました。
突拍子もない案に面食らっている様子でした。
2人とも機械工学の技術者だったので、強電場を使う電気の技術に直観的に拒否反応を示したのかもしれません。
2人は、その案が良いとも悪いとも言わず、肩を落として帰っていきました。

その後、彼らから何の音沙汰もありませんでしたが、3か月後のある日、電話が入りました。

「大変です。じつは、例の電場を使うという解決案、あの時はダメだと思って捨て置いていたんですが、先日、うちの研究者が、計測のために電場をかけたら、おかしな現象が起きたと言うんです。見に行ったら、なんと、強い電場をかけると例の問題が全く起こらなくなるんです。しかも、こんな良い副次効果も出て...。これでライバルに勝てますよ...。」

革新的アイデアから特許へ
その後、そのメーカーはそのアイデアで特許を取り、さらに、その改良版や変形版などでもたくさんの特許をとったそうです。

この事例のように、いままで十分検討したけれど良いアイデアがないという状況のときに、Ideation TRIZ(I-TRIZ)をやると、思いもよらないとんでもないアイデアが出ることがあります。

その理由は、Ideation TRIZ(I-TRIZ)は、当人が今まで知らなかった異分野の知識や知恵を提供してくれるからです。

ところが、そういうとき、たいてい、「そんなもの無理、効果なし」と当人たちは勝手に思い込んで、そのアイデアを捨ててしまいます。
ところが、後になって、競合企業や新参企業がそれを実用化してきて、市場を奪われるということがときどき起きます。

じつは、異分野の知識や知恵を利用することこそが、イノベーションの生みだす秘訣なのです。
これをIdeation TRIZ(I-TRIZ)は可能にしてくれます。

事例 3 :「5年間未解決の問題を初心者が2時間で解決」

Ideation TRIZ(I-TRIZ)の主要ツールの中に、システムアプローチというものがあります。
問題解決に利用できそうな資源(物、エネルギー、空間、時間、機能、情報など)を見つけ出すツールです。
このツール、旧ソ連の秘密警察KGBの尋問テクニックを応用して作られたそうです。
でも、小中学生でもできるほど簡単な方法です。

さて、2006年、私がまだIdeation TRIZ(I-TRIZ)を勉強したての初心者だった頃、あるコンピュータメーカーでIdeation TRIZ(I-TRIZ)の話をしたら、みんな面白がって、試しに何かやってみようということになりました。

そこで、あるメモリ制御に関する問題に挑戦しようということになりました。
その問題は、担当技術者が過去5年間悩んできたけど解決できなかったというものです。
「解決できなくて元々。万が一解決できたら超ラッキー!」と遊びに近いノリで、私とその担当技術者と他に3人の技術者仲間が集まって、朝10時から検討を開始しました。

Ideation TRIZ(I-TRIZ)の基本手順だと、最初にやるのがシステムアプローチです。
初心者なので、素直にその手順のとおり、システムアプローチを始めました。
指定された複数の視点から対象のマシンや周囲環境を考察して、役立つ可能性のある資源を何でもかんでもピックアップしていくという、まあ、道端の空き缶拾いのような作業です。

その空き缶拾いの作業も、教えられたとおりのやり方で進めていきました。
1時間ほどたったころ、マシン内の基本ソフトウェアの一つの機能にみんなの興味が集まりました。
その機能が問題解決のキーになりそうな匂いがプンプンするのです。
担当技術者は過去一度も、その機能に着眼したことはなかったそうです。
同じ問題に対する他社の特許を調べても、その機能を利用した解決策はありませんでした。

3通りの解決策
その機能をもっと詳しく解明していきました。

そろそろランチにするかというとき、担当技術者が「アッ、閃いた!」を叫びました。
「こんな簡単なこと、なんで今まで気づかなかったんだ」と言いながら、瞬く間に3通りの解決策を披露しました。
その策は、先ほどから着目していた機能を巧みに利用したもので、問題を完璧に解決していました。

かかった時間はたった2時間!
今までの5年間は何だったのでしょう?

担当技術者は悔しがりながらも小躍りし、詳細設計を次の週には完成させ、1か月後には特許出願をし、半年後には新製品に解決策を搭載しました。
特許はもちろん許可されました。

初心者でも、きちんとマニュアル通りにやることで、見事な結果を出せたのです。

ビギナーズ・ラックだったのかもしれません。
しかし、ビギナーは何の疑いも抱かず、教わったことを素直に信じて、型どおりに実践するから、ラックを獲得するんじゃないでしょうか?

皆さんも、Ideation TRIZ(I-TRIZ)が教えてくれる偉大な先人たちの知恵を信じて、まじめに実践すれば、きっといい結果を出せます
確かに、どの問題にも常に良い結果が出るわけではないですが、普通のやり方で問題に取り組むより、はるかに高い確率で成果を出すことができます。
(上村輝之)


さて、いかがでしたか。
行動した人だけが結果を出せるというのは、
まぎれもない真理です。
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