Ideation TRIZ超入門
(2) どんな知恵がIdeation TRIZに入っているの?
What Kinds of WISDOM?
(上村輝之)
「 誰もが、歴史上最もイノベーティブ(革新的)、クリエーティブ(創造的)またはインベンティブ(発明的)だった人々の知恵を借りることができるのです。」
フルブライト博士は、このように説明していました。Ideation TRIZ(I-TRIZ)がどのようにしてでき上がっているのかを見てみると、博士の言葉の意味がよく分かります。
Ideation TRIZ(I-TRIZ)の仕組みを簡単に説明しましょう
Ideation TRIZ(I-TRIZ)の開発の歴史は現在で70年になります(現在も進行中です)。開発者たちは、その70年間に、
世界中(特に欧米、日本)から集められた300万件を超える優秀特許
を徹底的に分析しました。「歴史上最もイノベーティブ(革新的)、クリエーティブ(創造的)またはインベンティブ(発明的)だった人々の知恵」の代表として特許が選ばれています。
しかも、その特許の数は300万件(*1)です。
とてつもない量です。
A4コピー用紙に印刷して積み上げると富士山と同じくらいの高さになります。
(*1) TRIZとしては、200万件の特許が調査・分析されましたが、その後Ideation TRIZ(I-TRIZ)に発展してからも、さらに100万件の特許調査・分析が追加されています。
さらに、特許だけでなく、
...
- 数千人の科学者・技術者・発明者・起業家などの実践的知識
- あらゆる分野の科学技術・社会制度・ビジネス・文化などの進化の歴史
このような研究によって、
- 問題解決で達人たちが使っていたありとあらゆる解法のテクニック
- 達人たちが問題に取り組むときの思考のプロセス
- 人間が作り出したあらゆるものの進化をつかさどる一定の法則
その徹底ぶりは、漏れなく網羅的といえるほどの完璧さがありました。
ひとつひとつの特許情報やひとりひとりの研究者の実績からだけでは導け出せなかったテクニックやプロセスが、膨大な数の情報を集めることによって、実は普遍的なパターンに分類することが可能であることに気付いたのです。
その大量の知見をさらに蒸留して、あらゆる分野のイノベーション開発に共通に適用可能な思考技術のエッセンスを抽出し、さらに統合して、誰でも利用できるエキスパート・システムを組み上げました。それがIdeation TRIZ(I-TRIZ)です。
Ideation TRIZ(I-TRIZ)の開発に要した総工数(労働量)は1500人年超
四天王寺絵堂第四面の聖徳太子絵
http://www.shitennoji.or.jp/history.htmlより
もし一人で開発したならば、1500年以上かかるということですから、聖徳太子が現役の時代に開発を開始しないと西暦2000年には間に合わないですね。
このように、古今東西のあらゆる偉大な達人たちの膨大な知識に基づいてIdeation TRIZ(I-TRIZ)は作られているのです。
「あなた一人の知識と経験」vs Ideation TRIZ(I-TRIZ)
ということは、
「あなた一人の知識と経験」単独部隊
vs
「世界中の天才達の知識と経験 + 1500人年の開発工数
+ あなた一人の知識と経験」連合軍
という構図になります。vs
「世界中の天才達の知識と経験 + 1500人年の開発工数
+ あなた一人の知識と経験」連合軍
どちらの方に軍配が上がるか、何も言わなくても明らかですよね。
主役は誰?
たまに勘違いをしてしまう方がいるので、ひとつだけ注意を付け加えさせていただきます。それは、「Ideation TRIZ(I-TRIZ)を導入したら、すぐにアイデアが出る」という勘違いです。
Ideation TRIZ(I-TRIZ)がアイデアを出してくれると勘違いをする方がたまにいます。
Ideation TRIZ(I-TRIZ)がアイデア製造マシンのようなものだと勘違いしてしまうのです。
Ideation TRIZ(I-TRIZ)は、スポーツにたとえれば、優れたコーチです。武道にたとえれば、師範です。
試合に出る選手は、コーチや師範ではなくあなた自身であるように、実際の問題に立ち向かって発想するのは、あなた自身です。
「主役は常にあなた自身」なのです!
Ideation TRIZ(I-TRIZ)は基本のフォームや技を懇切丁寧にあなたに教えてくれるのです。
優れたコーチや師範について、同じパターンを何度も何度も繰り返していくうちに、それは次第に体に染みついてきます。
スポーツに限らず、料理でも、なんでもそうでしょう。
Ideation TRIZ(I-TRIZ)の場合でも、何度も使っているうちに、次第にIdeation TRIZ(I-TRIZ)が自分の血となり肉となってきます。
そして、いつしか、達人の域に達していくのです。
実際、どんな成果が出ているか?
次のページでは、Ideation TRIZ(I-TRIZ)使って実際にどんな成果が出ているのかについて、お話しします。先に紹介したフルブライト博士の成功談は、アメリカ合衆国でのこと、しかも個人の武勇談。だから、実感がわかない方も多いと思います。
わが国日本で、企業で、どんな成果が出ているのか?
その事例を次のページでご紹介します。
(次のページに続きます...)